第五話 幼児期D
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れなくて、苦戦しているようだ。
だが、これは勝負。一度対決すると決めたからには、お兄ちゃんは手を貸しませんよ。一応ちらちらと俺の作り方を見る妹に、見えやすいようにゆっくり作ってはいるけど。あっ、完成した。
「食らえ、先制攻撃!」
「きゃー!」
投げた雪玉が見事命中。雪ん子アリシア完成。
「むー、おかえし!」
出来上がった雪玉が俺に迫ってくる。なので俺はひょいと避けた。その後も、アリシア当たる。俺避ける。という白熱した攻防が繰り広げられたのであった!
「ふふふふ。残念無念、そう簡単には当たりはしないん、ぶはぁっ!」
突然不意打ちされました。え、あれ? ちょっとアリシアさん。なんか目据わってない? 雪玉じゃなくて、雪そのものを下から巻きあげてきたよ、この子。
「お兄ちゃん」
「え、はい」
えっとその、あれだ。ごめん、ちょっと調子にのりました。めちゃくちゃノリノリでハッスルしていました。だから、『少し頭を冷やそうか…』という副音声が聞こえてきたのはきっと幻聴だよね!?
「ちょっ、ま、待ってアリシアさん。話せばわか、げふぅッ! げほぉっ、ごほっ。い、妹よ、雪を下から巻きあげないで! さっきから俺の鼻にダイレクトに攻撃されて、ぶふぉあァーー!!」
「むー! むーー!!」
妹に逆襲されました。
******
あれから妹様の機嫌も直り、一緒に雪だるまを作ったりして遊びました。たくさん遊んだし、疲れたのか、家に帰った途端に妹はばたんきゅーしてしまった。今はすやすやと寝息をたてている。
母さんが帰ってくるまでまだ時間がある。そう判断した俺は、リビングのソファに座り、懐から1冊のメモ帳を取りだす。
メモ帳は、母さんがヒュードラの開発に携わるようになってから付け始めた。俺が覚えている限りの情報を、俺が思ったことや感じたことを書き綴ったメモ帳。
とにかく思ったことをひたすら書いたな。説明っぽい書き方にしたのは、俺自身の思いをこれから先も忘れないようにするため。書き始めた理由は、俺の頭でずっと情報を覚えておくのは無理そうとか、頭の中で考えすぎると悟り開いてしまうかもしれなかったためだ。もともとメモを書くのが好きだったのもあるけど。
俺はパラパラとメモ帳を眺める。結構溜まってきたな。そろそろ情報の整理とかしないと駄目かねぇ。ちなみに《NO.19》のメモを読んで、ちょっと遠い目をしてしまったのは忘れる。いや、きっと大丈夫なはずだ。あの副音声は空耳だったんだ。魔王ルートはなんとしても阻止しよう。そうしよう。
このメモを書き始めて約1年。俺自身の現状を知るのにとても役に立っている。あとは日記のようなものもいくつか書いて
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