第五話 幼児期D
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に言わなかっただろう。ただ母さんを心配させないように笑っていたかもしれない。母さんの力になれない自分を悔いていたかもしれない。
そこまで考えて俺は、主人公である高町なのはとアリシアはなんだか似ているな、とふと思った。色々細かい差異や経緯は違っているけど。でも、そんなにも間違ってはいないと思う。2人は家族に愛されていた。けど無力感や孤独感はお互いに感じていただろうから。
なのはさんは強い。でも自分のことを二の次に考えて、誰かのために行動してしまう危うさも持っていた。俺はもしこのままアリシアを1人ぼっちにしてしまったら、なのはさんのように無茶をしてしまうのではないかと思った。
もちろん低い可能性かもしれないし、誰かのために頑張れることはすごいことだ。だけど、もしアリシアがなのはさんみたいに大怪我をしたらと思うと、俺は気が気でなかった。
だから俺は兄として、家族として、妹の傍にずっと一緒にいるし、妹のわがままを聞いてあげられるような存在になろうと思った。アリシアが寂しいなんて思わないぐらいに楽しませて、母さんのためにできることを一緒に考えて、みんなで嬉しさを分かち合えるようになろうと思った。
この積み重ねていく日々を、バカやって、笑いが絶えない毎日を作っていく。きっと今の俺にしかできない、大切なことだと思っているから。俺は妹と一緒にいたいと考えたんだ。
だから…決して俺が、妹が「OHANASHIする?」とか「頭を冷やそうか…」とか言い出して、『金の魔王様』なんて呼ばれる子になったらまじでやべぇ! とかそういう考えはありませんでしたよ。えぇ、ありませんでしたとも。 ほんの少しだけ……いや、ちょびっとだけ……よぎりはしたかもしれないけど…、うん。
******
「つべたい…」
「ごめんなさい」
さすがに素直に謝りました。お互い真っ白になってしまったので、2人で帽子や服に付いた雪を払い落としていく。なかなか雪が取れなくて、悪戦苦闘する俺は突如ひらめいた。逆転の発想。某大佐なみのパッチンをしていた青年のように言えば、チェス盤をひっくり返したとでもいうべきだろうか。
そうだ、どうせもう真っ白なら、もっと真っ白になってもいいんじゃないかと…!
「アリシア、雪合戦するか」
「する!」
即了承する妹。相変わらず元気だなー、でも子どもは風の子、元気な子って言うし。よく2人で布団を取りあっては、家でごろごろすることはあるけど。まぁ元気であることには変わりはないよな。
「いくぞー、アリシア!」
「うん!」
妹に声かけをし、早速雪合戦の開始である。
俺はあまり雪を固め過ぎないように丸めていく。怪我したら大変だしね。妹はなかなか雪を丸めら
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