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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#35 "Blessing for met you"
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うに座って、ただ指先だけを激しく動かす二人にそれ以上話し掛ける事はせず、私は台所へ赴き昼食の準備を始める事としました。
どうせロットンは私の話など聞きはしません。
久し振りにゲームで対戦出来る相手が見付かったのですから尚更でしょう。
しかしまあ、何処から拾ってきたのやら。
あんな幼い女の子を……
今回ロットンが連れ帰って来たのは、黒髪に黒のゴスロリ風衣装を身に纏った小柄な体躯の女の子でした。
彼と一緒にいると言う事は彼女にも事情があるのでしょう、何かしらの。
"今回"と言ったのには理由がありまして、過去に何度も似たような事があったのです。 ロットンが
理由
(
わけ
)
ありの女の子を助けるという事が。
女の子の方で彼を求めるのか、彼がそういう子を助けたがっているのか。或いはその両者の思惑が運命とやらを呼び寄せているのか。
神ならぬ人の身では与り知らぬことではありますが。
何を隠そう(全く恥ずかしながら)私も彼に救われた一人ではあるのです。
欧州でとある仕事を引き受けた際、幾人かで組んだチームの一人にロットンがいたのであります。
結論から申さばその依頼は失敗に終わり、チームは私とロットンを遺して全滅いたしました。
依頼主が土壇場で裏切ったらしいというのが後から知った失敗の理由です。
この世界ではままある話ですが。
標的のいる筈のホテルに侵入するや、マシンガンで武装された殿方の熱い歓迎を受けた我々は壁の花ならぬ、壁に華を咲かせる存在と相成りました。真っ赤な血の華を。
私も淑女の端くれとして壁の花とも華ともならぬように振る舞ったのですが、気が付けばホテルから遠く離れた路地裏で、己の腹に赤い華を咲かせておりました。
自分自身の過去の罪業を振り返る事もなく、黄泉路への旅を夢想していた私の目の前に差し出されたのが、ロットンの白い手でありました。
放っておいてとっとと逃げろと告げる私に、
"自分の目の前で女の子に死なれるのは気分がいいものじゃない"
そう言って私を引っ張りあげて、肩を貸して歩き出したんです。ロットンは。
その時、血が足りずにボンヤリとする頭で私はこう思いました。
"こいつは真正の馬鹿だ。とても長生きは出来ないだろう"と。
その後退院した私はロットンと相棒のような 形になり、今に至るというわけです。
それなりに長い付き合いになりますが、 ロットンという男の印象は今も変わりません
やたら女に甘い馬鹿で、面倒事ばかりもってくる奴。
何を考えているのか全く分からず、分かろうともしたくない相手。
本人は大真面目なのかもしれないが、傍からはただの可哀想な子にしか見えない。
そんなところでしょうか。
我ながらよくもまあ、相棒として付き合っていけるも
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