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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#34 "conversation with myself"
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出会った二人の銃遣い(ガンスリンガー)

僕を変えたのかもしれない二人の男女。

ダッチによればゼロは事務所に顔を出して少し話をした後、街に出ていったらしい。
レヴィも後からやって来たが、ゼロと合流することを選んだそうだ。
二人肩を並べて街を練り歩いているのだろう。

「目的は、何だろうな……」

昨日(時間的には今日かもしれないが)店で聞いてしまった話によれば、ゼロは襲われた上に話までしたそうだ。
だけど彼等の隠れ家や裏にいる人間の事までは聞き出せなかったそうだ。
だとするならば、今彼が動いているのはそれらの情報を探る為とも考えられる。
そして、確証が得られれば……

どうするんだろう?

そこまで考えて手が止まる。
目で見ているものがただの数字になる。形は把握出来ても意味までは把握出来ない。

一旦目を閉じ、後ろ手で床に手を着く。
唐突にこんなところで、何故自分がこんな事をしているのかが、分かってしまった。
決して被虐趣味などない自分がどうしてこんな拷問に近い苦しい作業をしていたのかが。

最初はただの焦燥感だと思っていた。
街がこんな状態になって、何処か浮き足だってゆく状況の中で平然としていられる程、肝は太くない。
他人に必要以上に関心を示さないのが僕の貴重な個性だとしても、それは他者から影響を受けないというわけでは決してない。
レヴィやゼロから受けたそれ程大きくなくとも、やはり街の空気を吸えば肺の中はその街の色に染まる。
特にこんな街なら尚更だ。

何かをしなきゃいけないんだけど、何をどうすればいいのか分からない。
そんな街の空気に当てられて、こんなどうでもいい仕事を始めたのかと思ってたんだけどなあ。

床に着いた手を支えにして立ち上がる。もうこの場所には居る必要がない。シャワーでも浴びるとしよう。

レンズの内側にも汗が滴り落ちてる。これも綺麗にしないとな。顔から外した眼鏡を眺めて歩きながらぼんやりとそんな事を考える。

さて、シャワーを浴びたらどうしようか。
ゼロ達が何処にいるのかは分からないしな。しかしまあ、我ながら……

眼鏡を掛け直して思わず苦笑する。
確かに単純作業というのは効果的ではある。
考え事をするときに、何もしないよりは手を動かしながら考えた方が効率的だ。と言うのは聞いた事がある。
特に普段からよくやっているような作業だと、なお効果があるそうだ。

ただ逆に何も考えたくないような時にも効果的なんだ、単純作業ってやつは。
そう、要するに僕は考えたくなかったんだ。

"彼が子供を殺すかもしれないという事と、それを心配している自分自身の事も"

やれやれ。クールが御自慢のベニー・ボーイは何処へ行ってしま
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