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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#33 "Master of Jackpot"
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た。
目を合わせたまま、淡々と。
「世の中なんてな、何だってかけ離れた二つのもんから成り立ってんのさ。
男と女、戦争と平和、金持ちと貧乏人。
そして、夢と現実。
その全ては遠く離れたところにあるようで、実は背中合わせでくっついてる。
決して離ればなれになる事たあねえのさ。
俺っちの店が売るのは夢。愉しくて華やかな夢を売ってんのさ、毎晩な。
けど、一皮向きゃあこうして詰まらない現実が地肌を晒す。決して客には見せねえ地肌がな。
見せる必要もねえ、見る必要もねえ。
ここにいる時ゃあ夢だけ見てりゃあいい。そうは思わねえか?
客商売ってなそういうもんだろ。この街に限らず世界中何処でもな。
だから、俺っちはこの街を愛してるぜ。この街に住んでる連中もな。
どうせ世界中どこ行っても同じだってんなら、やっぱ自分の今いる場所ってやつを愛して やんねえとな。
じゃねえと、人生楽しめねえよ。
……だからよお。俺ゃあ今街を騒がしてる奴が許せねんだよ。
商売に障りがあるからってだけじゃねえ。
ソイツぁこの街をぶっ壊そうとしてやがる。
そういうつもりはねえのかもしれねえけど、それでもその馬鹿がやらかしてんのはそういう事だろ。
バラライカみてえなおっかねえ女に喧嘩売ったんだからな。
そりゃ街もおかしくなるぜ。
店に来てる客も、なあんか愉しんでねんだよ。無理矢理はしゃいでる感じでさ……
ゼロ、レヴィ。
アンタら二人が動いてくれるってんなら俺ゃあ大歓迎だぜ。
俺に出来る事なら何でも言ってくれ。
何だかよお……
アンタらなら上手く
事態
(
こと
)
を収めてくれそうな気がすんだよ。
張の旦那でもねえ、ダッチでもねえ。
アンタらさえ動いてくれりゃあ、この街にとって一番良い結果に落ち着く……
そんな気がしてんだよ。何しろ俺ゃあ、アンタらのファンだからな」
そう言って笑うローワンの顔は初めて見るものだった。
自分の宝物を自慢するガキみたいな顔、ってのは良く言い過ぎか。
ちょっと誇らしげなような、でも少し恥ずかしがってるような……
「協力してくれるというなら助かる。そのために此処まで来たんだからな」
ゼロの声に思わずローワンから目を逸らす。ちっ……アタシらしくもねえ事考えちまった。
「で、俺っちは何すりゃいいのよ?
何でもするたあ言ったけどよ。正味の話、出来る事なんざ限られてるぜ」
「ちょっと確認しておきたい事があってな。
お前さん秘蔵のコレクションの中で、ルーマニア人で双子の子供が出演してるやつがあるか探して欲しい。
ああ、キッズポルノだけじゃなくて
殺人
(
スナッフ
)
ビデオも頼む。そっちの方が本命かもしれん」
「ヒャーヒャッヒャ。
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