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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#32 "Central Intelligence Agency"
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う。
まして私の職場の過去を考えれば、とても言いだせないだろう。麻薬組織を撲滅せよなどと。
"東側の赤の眷族"と戦う為とはいえ、散々取引してきたわけだからな。各地の麻薬長者達と。
先達の偉業に思いを馳せるのは程々にして、これからの事を考えるとしよう。
と言っても出来る事は限られているが。
問題は襲撃犯の裏に誰がいるか?
これに尽きるだろう。
実行犯自体がどんな奴かはどうでもいい。
私刑執行人
(
パニッシャー
)
だろうが、
病気持ち
(
サイコパス
)
だろうが、そんな事は関係ない。
そいつが何を考え、何を求めて、暴れ回ろうが私の知った事ではない。
ただソイツの裏にいる連中についてはその限りではない。
その目的、組織の規模によってはあの
火傷顔
(
フライ・フェイス
)
の歪んだ皮膚が歓びの色で染まる かもしれないのだ。
全く戦争き〇がいが……
仮に外の勢力が尖兵を送り込んできたのだとしたら、シスター・ヨランダの情報網に引っ掛かる はずだ。
あの女怪の持つ情報収集力は私でも舌を巻くレベルだ。
仮に彼女の目を盗んで尖兵を送り込む事が出来たとしても、その後街に潜伏する必要があるはずだ。
襲撃が始まって一ヶ月近く経つはず……
これ程長い期間隠れ続けようとするなら内部の協力者は欠かせない。
やはり、裏には街の内側の勢力が関わっている、か。
「………」
檀の上に手を伸ばしサングラスを掴む。
考え事の時間は終わりだ。
サングラスを胸元に差し込んだ後、椅子から立ち上がり酒瓶とグラスを手に取る。
先ずはシスター・ヨランダと話をしよう。
それから街へ赴き、出来ればゼロ、あの男と話をしたい。
未だに正体の掴めない奴だが、それだけに面白い存在ではある。
こんな複雑な状況下では特に。
奴を含めて、ラグーン商会はこの街の特異点と言っていい。
必ず今度の一件に関わってくる。
私の諜報員としての勘がそう告げている。
それにあの猪女をからかうのも良いストレス解消になる。"アタシ"としては。
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