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第四十四話 王の名
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ついてなんかあんのか?」

「ああ、一つだけ。グリモワールから覚えられるのは昨日行った三つの魔法のみだ。だが、もう一つだけ隠された魔法があんだよお」

「なんでこのタイミングでそんなこと言うんだよ?」

もっともな疑問なのだが、ルシフェルは構わずに話を進める。

「これは冗談抜きな話なんだが・・・グリモワールにはその上の【グラン・グリモワール】っつーものが存在するらしい」

「らしい?」

ルシフェルの物言いに眉をひそめるソレイユ。だが、ルシフェルは首肯すると言葉を続けていく。

「俺もある人から聞いただけなんでな、確証はないんだが・・・けど、それから学べる魔法はものすごいとしか言いようがなかった」

「まるで実物を見たっていう口ぶりだな」

「ああ、見たさ。一番まじかでな・・・この世界の魔法常識を覆すほどの魔法を、使用する本人たち含め【伝説級魔法(レジェンダリー・スペル)】って言ってたな」

「・・・そういう魔法があるっていうのはわかった・・・だが、なぜこのタイミングでそんなことおれに教えるんだよ?」

「“王”の話が出てきたからな、そのついでだ」

「ふぅーん。じゃあ、その【伝説級魔法(レジェンダリー・スペル)】ってのを使う“王”ってのは誰なんだ?」

「【伝説級魔法(レジェンダリー・スペル)】を使える“王”は二人いた。一人はウンディーネの王、≪霊水の巫女≫メビウスだ」

「もう一人は?」

ソレイユの質問にルシフェルは不敵に笑ってから口を開いた。

「俺らインプの王、≪常闇の魔女≫エレミアだよ」
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