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第四十四話 王の名
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失礼します」

「ああ」

アナウンスの指定した場所に行くために桜火は鷹明に別れを告げ、去っていく。少しの間その背中を鋭い目つきで見ていた鷹明だが、自分の目的を果たすため桜火とは真逆の方向へと歩いていく。

ちなみに―――

「ところで桜火・・・私は常々思うことがあるのだが・・・」

「はい?」

「私はまだ、おじさんという歳ではないとは思うのだが・・・」

「でも家系図上は叔父さんですよね?」

―――とは、アナウンスが流れる直前の会話である。どうやら、天下の名医アスクレピオスと言えど意味合いは違えどおじさんと呼ばれるのは不本意らしい。



定期健診で特に異常は見つからなかったので、早々に帰宅した桜火はある人物に電話をかけていた。

Trrrrrr---Trrrrrr---ガチャッ

『はい、もしもし?どちら様?』

「どうも、迅さん。桜火です」

その人物とは、昨晩焔に連絡先を聞いた迅である。予想外の人物からの連絡に迅は少しばかり驚くが、すぐに気を取り直す。

『よっ、桜火。一体どうしたんだ?急に連絡なんかしてきて』

「烈の連絡先を教えてほしいんですけど」

『おう、いいぜ。メモの準備はいいか?』

いきなりの桜火の質問に特に気にした様子を見せることなく教えようとする迅。桜火は近くにあった白紙の紙とペンを手元に引き寄せると迅がいう烈の連絡先をメモしていく。

「どうもです。おれのことは烈にでも聞きましたか?」

『ああ、嬉しそうに話してたぜ。なぁ、≪剣聖≫ソレイユ殿?』

「・・・最後のは褒め言葉として受け取っておきますよ。では、これで失礼します」

『おう』

そういって電話を切ると、今度は迅に教えて貰った連絡先に電話をかけていく。

Trrrrr---Trrrrr---ガチャッ

『はい、もしもし?』

「よう、久しぶりだな。シリウス」

『その声、ソレイユか?どうして俺の電話番号知ってんだ?』

「ああ。おまえの兄とおれの姉が知り合いでな・・・っと、そんなことはどうでもいいんだ。ちょっと話したいことがあるから東京に来られるか?」

『東京?月影は京都だろ?』

「わけあって今東京に住んでる姉のところに居候してんだよ。そんで、出てこれんのか?」

『今静岡の実家にいんだよ。そっちに行けるとしたら明日になるぞ』

「ああ、大丈夫だ。集合は東京駅のほうがいいだろ。着く時間はあとで連絡くれ」

『わかった。そんじゃ、また明日』

「ああ」

シリウスこと霧雨 烈と連絡が取り終えると、桜火はそのままナーヴギアをかぶりアルヴヘイム・オンラインにダイブしていった。



アルヴヘイム・
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