第19話 猫神様と黒い魔法使い(3)
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赤にさせ
「ふふっ、うふふふふふ……、そっかぁ。純吾君、私たちはスンごい心配してたのにぃ。そっか、そうなんだぁ……ふっ、ふふふふふふ」
すずかは普段の清楚な雰囲気を全く感じさせない、泥のようにどす黒い微笑を顔に張り付け、地獄の底から響くような、聞くものを震撼さしめる笑みをあげ始める。
彼女たちの目の前にいる純吾は、何か変な事をしているのか?
いいや、していない。彼はシャムスを治療した時から全く動いていない。
いや、彼にとっても余りの展開に動く事が出来ない、という方が正しいだろう。
「にゃ? にゃにゃ? この体は……。
っ!! ジュンゴにゃんジュンゴにゃん! ジュンゴにゃんがシャムスを治してくれたおかげで、シャムス、こうやって喋れるようににゃったにゃーーーっ!!」
ごろごろにゃーん、そう嬉しそうに動きを停めた純吾に体を押し付け、胸に顔をうずめるシャムスだったもの。
以前よりも輝きのました橙色の毛並みは、まるで夏の陽の様に当たったかのように煌めき、猫耳は嬉しそうにピコピコと揺れている。
ここまではまだいい、ここまでは前のシャムスでも持っていた。しかしその他が圧倒的に違う。
紫色の長髪は波打つようにウェーブがかかり、まるで紫水晶を乱反射させたかのように艶やかに顔の半分を隠すように流れ、その下にある、ぱっちりとしてつり上がったネコ目は、紅いルビーのような輝きを放っている。
背面には尻尾が無くなった代わりに、髪と同色の小さな羽根がぱたぱたと揺れる。
前のシャムスには無かった様々なもの。これだけでも十分シャムスが変わってしまったという事は一目瞭然だろう。
だがしかし、一番劇的なのは体のサイズだ。
前は片手で軽々と持ち上げられていたシャムスだが、今純吾は彼女を無意識のうちに両手でお姫様抱っこをして支えていた。身長が今の彼とほぼ同じくらいあるからだ。
そして何よりもどこよりも、今リリー達の目の前で彼に押し付けた胸。
猫のそこなんて確認のしようが無いが、今の彼女のそれは純吾に押しつけた拍子に柔らかく形を変え、体の横からはみ出している。
明らかにリリーよりも、下手をしたら忍なみに豊かな胸だった。
リリー達の目の前で、シャムスがさらに純吾に絡みつく。
肘の半ばあたりまで髪と同色の毛に覆われた長手袋のような腕を、より強く純吾の首に廻して顔と顔、胸と胸をさらに近づける。
悦に浸ったかのように目を細めて頬を寄せる彼女に、ビクッと硬直したまま体を震わせ、純吾はこれ以上ないくらい真っ赤だった顔をまた一段と朱に染めた。
そんな彼らの様子を見て、遂に力をため込んでいたリリーが爆発し、その顔をあげて彼らに吠えかかる。
「……どうして
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