第19話 猫神様と黒い魔法使い(3)
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
み込んでいった。
2人の少女と1人の女性が月村邸の裏口、森への道が続くそこを飛び出していった。
「はっ、はっ…リリーさんっ! こっち、ここから森の中に行けます!」
すずかが走りながら告げる。息が少し上がっているのは、今までずっと屋敷の中を走り回っていたためである。
なのはと純吾が出て行ったあと、すずかもアリサも優雅にお茶会を続ける気には勿論なれなかった。
そのため、彼らを手助けすることのできるリリムに事情を伝えようと屋敷の中を駆けまわり、先程やっと純吾の部屋で正座のファリンを前に説教――いかに純吾と彼の作る料理が素晴らしいか――を延々と語っていたリリーを見つける事が出来たのだ。
「分かったわ! ……あぁもうそれにしてもっ!?
ファリンのお馬鹿にお説教してたせいでこんなになっちゃうなんて! ジュンゴが少しでも怪我してたら説教じゃすまさないわよあのポンコツメイド!!」
リリーはそう叫びながら、焦った様子でその秀麗な顔を歪める。
これまで彼女はいつでも純吾の傍にいて、降りかかる危機を共に乗り越えてきた。
しかし今回は自分の失態から彼の傍におらず、そのままジュエルシードの発動という未知の危機を迎えてしまっている。
思い出すのは、この世界に来るきっかけとなった暴徒との争い。
あの時彼女は無理やりに彼の傍から引き?がされてしまった。その結果は、彼が致死の重傷を負ってしまうという最悪のもの。
嫌な予感がする。
何か取り返しのつかないような、そんな不安が彼女の体を這いずりまわっている。
それを振り払うかのように、リリーはすずかとアリサに続いてがむしゃらに森の中を走り抜けた。
「っ! なのは、ジュンゴ!!」
さほど森の奥にいなかったのか、先にジュエルシードを封印しに出かけたなのは達を見つけた。
なのはは気絶しているのか、以前見た白い服装のまま横たわっている。
そして純吾。彼はシャムスとおぼしき猫を片手にしゃがみ込んで、その手から何かを彼女に飲ませようとしていた。
シャムスの口にその何かが入った瞬間、純吾を中心として白く、圧倒的なまでの光の奔流が巻き起こった。
突然の、太陽が落ちてきたかのような光の出現に、リリー達は腕で顔を光から守りながらも、心配のあまり声を荒げて叫ぶ。
「きゃっ! 2人とも無事!? 大丈夫だった!? ……って、へ?」
しかし光が収まって腕を下げ純吾の姿を確認した瞬間、戸惑いを感じる声が漏れた。
その後何故かリリーは顔を俯かせ、ふるふると無理矢理何かを押さえつけているかのように体が震え始め
「あ、あ、あ、あん、た……」
アリサはプルプルとブレまくる手で純吾を指差しながら、顔を真っ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ