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その答えを探すため(リリなの×デビサバ2)
第17話 猫神様と黒い魔法使い(1)
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ている。「今日こそは」と言っているあたり、会えば必ずこんな事をしているのかもしれない。

「ぅな〜ん……、にゃん!」

 しかしシャムスは困ったような鳴き声をあげると、茶碗蒸しに背を向け、ダッ! と走り去ってしまった。

「…………」

 シャムスの出て行った扉を恨めしく見やりつつ、彼女の食べてくれなかった茶碗蒸しを前にしてしゃがみ込んだままの純吾。
 たっぷり何秒間か停まった後、がっくしと肩を落として首を項垂る。小さく「また…失敗」というかぼそい声が2人の耳に届いた。

「……ぷっ、ふふふっ。ねぇ、純吾っていつもあんな事してるの?」

 まるで恋人に振られたかのような純吾の姿に、アリサはこらえきれずに吹き出してしまう。

「ははは…、純吾君があれをする時だけは、どうしてかシャムスも逃げちゃうんだよねぇ」

 苦笑いをしながらも、すずかがそれに答える。

 純吾からしたら、仲の良いシャムスに自分の作った料理を食べてもらいたいだけだが、彼女にしてみれば何か大きく戸惑う事があるのだろう、毎回こんな調子で逃げられている。

 別に猫に悪い食材は何一つ入ってないんだから、食べてあげればいいのに。すずかはやり取りを見るたびそう思うが、気まぐれな猫の気持ちなど分からないからどうしようもない。

 と、項垂れていた純吾が不意に顔をあげた。その顔は己の失策を悔いるかのようであり、先ほどよりも大きな声で、何か重大な過ちに気がついたかのように言った。

「……猫舌か!」

「違うわよ!」





「おじゃましま〜す」

「あ、なのは」「いらっしゃい、なのはちゃん」

 純吾シャムスのやり取りからしばらくして、なのはが部屋に入ってきた。少し遅れて、ユーノもひょこっとドアから顔をのぞかせる。
 扉の後ろにはなのはをここまで案内していたのだろうか、ノエルに忍、そして恭也がいる。

「忍さん、お久しぶりです」

 今日来てから挨拶をしていなかった事をアリサは思い出し、立ち上がって忍に挨拶をする。

「あらアリサちゃん、いらっしゃい。それにお久しぶり。」

 忍もにこやかに挨拶を返す。

「じゃあ、忍」

 タイミングを見計らって、恭也が忍に声をかける。忍は笑顔で振り向きつつそれに答え、また小学生組へと顔を向けた。

「えぇ。それじゃあ私たちは私たちで過ごすから、あなたたちもゆっくりしていってね」

「それと純吾に言っといてくれないか? 今日は稽古は無し、たまにはゆっくり羽を伸ばせ、ってな」

 ついで恭也も伝言をなのはたちに頼み、エスコートするかのように忍の手をとって微笑みかける。
 そんな良い雰囲気で見つめ合ったまま、2人はノエルを連れて足早に部屋を出て行った。


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