第17話 猫神様と黒い魔法使い(1)
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「おじゃまします」
前のジュエルシード騒動があってから1週間後の休日、アリサは月村邸を訪れていた。
今日は他になのはも呼んで、最近のジュエルシード集めの慰労を兼ねてのお茶会である。
「いらっしゃい、アリサちゃん」
「アリサ。らっしゃーせー」
アリサの挨拶に至って普通に返したすずかと、いつものように眠たそうな顔をして、威勢のよい挨拶をする純吾。
「らっしゃーせーって……。純吾君、ここ、居酒屋さんじゃないんだから。
っと、いらっしゃいませ、アリサお嬢様。本日はようこそおいでくださいました」
彼女たちの後ろに控えていたファリンが2人に遅れてアリサに丁寧なお辞儀をする。お辞儀の前にやや呆れ顔で呈した苦情に、アリサがくすりと笑った。
「ええ、ファリンさんも今日はよろしくお願いします。それにしても、どこで見ても純吾ってマイペースね、何だか安心したわ」
何故アリサが笑い始めたか分からず、コテンと首をかしげる純吾。その様子に、アリサにつられてファリンもくすくす笑い始めた。
どんな時でも調子が崩れない、けれどどこかずれてる純吾の様子に、笑いをこらえる事が出来なかったようだ。
ひとしきり笑い終わると、ふとアリサは純吾の隣のすずかが浮かない顔をしている事に気が付いた。
「……すずか、ちょっとすずか」
「っえ? ど、どうしたのアリサちゃん」
心ここに非ず、といった様子だったすずかが、アリサの声にビクッと肩を震わす。
「どうしたも何も、いきなりぼぅっとして」
大丈夫かと顔を覗き込む親友に、すずかは大丈夫、とパタパタ手を振りながら答えた。
すずかがぼんやりとしていた理由、それは彼女だけが知っている、決して人には見せない、見せようとしなかった純吾の危うい一面、それを考えていたからだった。
あの日以来純吾はいつも通りに学校に行き、何の問題もなく生活している。
だからこそすずかは逆に、「どんな時でもマイペース」という彼の様子にどうしても不安を覚えてしまっていたのだ。
彼は今、どんな気持ちで過ごしているのだろうか、本当は辛いなんて事はないだろうか、と。
「…まぁ、すずかがそう言うなら大丈夫ね。ほら、ずっと立ち話もなんですし早く移動しましょ」
しかしその事は親友には上手く隠す事ができたようだ。
じっとすずかの目を見ていたアリサは、すずかの様子に一つ頷くとさっさと歩きだしていった。
その背中をまた見るともなしに視線を向けていたすずかはほっと一息つき、気持ちを切り替えるために軽く頭を振った。
しかしその後も、どうしてもアリサに続く純吾を見てしまう。
やはりいつものように少し眠たそうにしているその横顔からは、すずかは何もうかがい知る
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