第19話
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使い魔かなにかか?」
麻生が質問を質問で返したのが悪かったのか、少しだけ不機嫌そうな(猫なのでそこら辺は分からないが)顔をするが麻生の質問に答える。
「使い魔という概念はあっている。
しかし、魔術師の使い魔ではない。」
「つまり、お前は誰かの使い魔って事か。」
「それが人とは限らないがな。
そんな事よりこちらの質問に答えてもらう。
お前はその生き方でいいのか?」
「どういう事だ。」
「そのままの意味だ。
お前はさっきまで自分の生き方について迷っていただろう?」
その言葉を聞いて麻生は左手に剣を具現化させその剣先を猫に向ける。
麻生はさっきまで考えていた事は誰にも話していない、なのにこの猫は知っていたのだ。
猫は剣先を向けられていても全く動じなかった。
「そう警戒するな。
俺は話をしに来ただけだ。
その生き方でいいのか、とな。」
「当たり前だ、これは他ならぬ俺が決めた事だからだ。」
「なら、どうしてお前はまだ迷っているだ?」
麻生は言葉が出なかった。
自分でも気づかなかった事にこの猫は気付いているのだから。
「お前はあの幻想殺しの生き方に惹かれている。
あの男のように生きてみたいと思っているのにそれが出来ないと分かっている。
その矛盾がお前を迷わせている。
お前は本当は気づいていた筈だ、本当は自分がまだ迷っている事を。
だが、気づかない振りをして諦めた、違うか?」
「黙れッ!!!!」
麻生は剣を地面に叩きつけ衝撃波を生み出しそれが猫に向かっていく。
だが、猫に当たる直前衝撃波が二つに割れてしまう。
「ふむ、図星の様だな。」
それだけ言うと猫は振り返りどこかへ行く。
そして去り際に言った。
「それでもその道を選ぶと言うならそれはそれで構わない。
だが、どちらを選ぶにしろ選んでしまったらもう変える事は出来ないぞ。」
忠告のような言葉を残して猫は歩いていく。
すると音が突然復活する。
人も現れ、その人混みの中に猫は消えていった。
麻生は猫が言った言葉が頭の中で響き渡る。
(その生き方でいいのか?)
「何だよそれ、それじゃあまるで俺がこの生き方に納得していないみたいじゃないか。」
麻生は空を見上げて一人呟いた。
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