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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
chapter 02 : stress
#23 "Bacchus"
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《ハルマゲドン》が到頭起こるのか。
皆無気力になって戦争なんぞ起こらないのか。
どちらにせよ、あまり楽しい未来ではなさそうだが」
全く同感だね。
酒にはどれだけ感謝してもし足りない。今夜もありがたく飲ませてもらうとしよう。
「でもよう、姉御んとこが狙いとは言え他の組織の連中がこのまま黙ってるって事はねえんじゃねえか。
この機会に姉御に貸しを作るとか、力を削ぐとかよ。
色気見せてもおかしかねえだろ」
そう、問題はそこだ。
この街は複数のマフィアによって統治されている。
ホテル・モスクワに三合会。
更にイタリア系とコロンビア系の組織。
連絡会と呼ばれる不定期な会合を開いて、実質的に街を支配する有力な四組織。
彼らが連合を組む最大の理由は、そうする事でしかこの街の安定を保てないからだ。
今や麻薬の一大供給地としてだけではなく、あらゆる悪事の見本市としてロアナプラの価値は跳ね上がってる。
それだけに外部の組織がこの街に侵出を企む事は十二分にあり得る。
それを防ぐためには連絡会なんていう代物を産み出すしかなかった。
ただ、あくまでマフィア連中による寄り合い所帯だ。
今回のホテル・モスクワへの攻撃に、いずれかの組織が絡んでいたっておかしくない。
例え
件
(
くだん
)
の四組織でなかったとしても、ロアナプラには大小様々な勢力が存在する。
誰かが狙っているんだ。バラライカの首を。
けどソイツらは本当に分かっているんだろうか?
かの
火傷顔
(
フライ・フェイス
)
さえその気になれば、この街は一夜にして火の海になるという事を。
そしてその炎は街をくまなく燃やし尽くすって事も。
彼女ならやる。間違いなくやる。
仮に彼女に纏わる噂が本当なのだとしたら、実はそれこそを望んでいるんじゃないのか?
戦場の中で死ぬこと。戦って、戦って、戦い尽くして、死んでいくこと。
国家のためではなく、主義のためでもなく、自分の誇りのために。
そんなものが未だ残っているとすれば、だけど。
「はあ! 張の旦那がうちに来たのか!」
レヴィが突然上げた声に、思索を断ち切られる。
僕の考えてた事はどうでもいいことだけど、彼女の発言はそうはいかない。
聞こえてしまった名前の意外さと重大さに僕だけでなく、店中の人間が息を呑んだ。
「レヴィ、声が大きい」
ゼロの方を向いたままの彼女に囁きかける。
僕の方に振り向いた彼女に、目で店内を見るように伝える。
そっと半身になって確認するレヴィ。それに併せて店内にいた全員が目を伏せる様はいっそ爽快だった。
中々お目に掛かれない光景が見れるね、今夜は。
カウンター内ではバオが新聞を持ち上げて一生懸命顔を隠してる。さすがに逆さまに持っている、なんて漫画みたいな事はしてな
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