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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#21 "All work and no play makes Jack a dull boy"
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だ俺はマフィアの飼い犬じゃないからな。
連中と付き合いはあるが、恩義があるわけじゃない。
全てを話すつもりはないよ。
今夜の俺達の出会いは俺達だけのものだ。
もし君達に会いたい輩がいるのなら、 自分で努力してもらうとしよう」

我ながら何とも曖昧な態度だが、こうさせてもらうとしようか。
いずれこの二人も自分の意志で動き出すだろう。
どうせ止める事など出来はしない。
俺が情報を伏せようが何も変わらん気はするが、ここは自己満足に浸らせてもらうとしよう。

「ふうん 別に僕達は構わないんだけどね。まあ、お兄さんの好きにしたらいいよ」

「でも中々素敵な表現ね。
……今夜の出会いは私達だけのもの、か。
ねえ?また会えるかしら」

"BAR"の方が意外な事を聞いてくる。
"トマホーク"の顔をチラリと確認するが、"彼"の方も異存はないらしい。
さすがは"双子"仲のよろしい事だ。

「俺の方は君達に会う事自体に否はないが、出来れば派手な歓迎会は控えてくれ。
さすがに歳でね。君達のような元気な若者に付き合うのは大変なんだよ」

今度も二人の顔を等分に見ながら返答した。
実に愛らしい笑顔を浮かべたままの二人はただの子供にしか見えない。
無論顔だけ見ていればだが。
間違ってもその腕に抱えるものは意識の内に入れてはいけない。
神って奴の顔面に糞でも擦りつけたくなるからな。

さて、深夜のデートもそろそろ終わりにするか。
南国とはいえ夜はさすがに冷えるものだ。
どうせ街で騒動が起これば俺も巻き込まれるに決まってる。
ゆっくり眠れる夜は大事にしないとな。

「今夜は会えて楽しかったよ。
あまり無茶はするな、と言うべきだろうが君達には君達の事情があるんだろう。
好きなようにするといい。
この街の住人は皆パーティ好きだからな。
残念ながら君達好みのパイや、飲み物は用意しないかもしれんが代わりのもので盛り上げてくれるさ。
ただこれは全くの余計なお節介だが、二つ言わせてくれ」

そう言って右手の中指と人差し指を二本立てて二人に見せる。
双方の視線が俺に集まる事を確認してから口を開く。

「バラライカ。ホテル・モスクワのボスだが、出来れば彼女には手を出さない方がいい。 俺のボスに言わせると地上で最も恐ろしい女の上位三人に入るそうだ。
もっとも俺に言わせりゃ文句なしでNo.1だがな。
これは冗談で言ってるわけじゃない。
恐れを知らないのは若者の特権だが、最後に生き残るのは結局臆病者だ。
つまらん話だが、真理ってやつは大抵退屈なものだ。

だからもう一度言っておくぜ。

バラライカは怒らせるな。もし怒らせちまったら迷わず逃げ出せ。後ろを振り向かず、両手をしっかり振って、足が痛くなっても走るんだ
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