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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#21 "All work and no play makes Jack a dull boy"
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「とても楽しかったわ。血もたくさん浴びたの。良い匂いだったわよ、とってもね」

ふむ、アッサリと認めてきたな。映画なら口封じに殺される場面、といったところかな。

「そうか。
好意に甘えて序でに聞くんだが、君らは俺をどうするつもりなんだ?
あくまで殺り合うつもりか」

俺の投げ掛けた質問に二人は互いの顔も見ずにアッサリと答えて来た。
あくまでも楽しげな様子で。

「う〜ん、今夜はもういいかな」

「そうね、たっぷり遊んだし」

間髪入れずに返ってきた答えは、見事に二人の間で一致していた。
まあ、取り敢えずは一安心か……

「お兄さん、襲っちゃってゴメンね。今日はちょっと元気が余ってたんだ」

「お兄さん、にいさまを許してあげて。
私達今夜はいつもと違う遊びをしたの。
やっぱり遊びっていうのは、誰かにやらされるより、自分達で好きなようにやった方が楽しいわよね」

二人は尚も嬉しそうに話し続けた。
その楽しい"遊び"の内容を。こと細かく、丁寧に、執拗に。
人体の構造や解剖学に興味の薄い俺は、それらは聞き流しながら重要な部分だけを聞き取る事にした。
大半は聞く必要もない情報となるのだったが。











【11月1日 AM 1:04】

Side ゼロ

「ほう すると君達の事を他人に話しても構わないと。
それでいいのか?街中の人間に狙われる事になるぞ」

二人の話が一段落したのを確認してから、改めて彼と彼女に問い掛けた。
今夜俺達がこの場で出会った事は秘密にしておくべきかと。
まあ、口封じもする気もない二人だ。
返答は容易く予想出来るものではあった。
事実二人は何の屈託もなく、 あっさり此方の好きにすればいいと告げてきた。
この時俺の胸中は些か複雑だった。
今更善人を気取る意志も意欲もないが、正直子供が不幸になるのは好きじゃない。
と言って二人の為に出来る事など、俺みたいな男じゃたかがしれてる。

二人の物語は既に終わってしまっている。

この街にやって来て、こうして俺達と出会うその遥か前に。
そもそも何が幸せで、何が不幸か、なぞ他人が偉そうに決めるものでもない。
戦闘の中にのみ光を見出だす人種もいる。分かっている。分かってはいるのだがな。

「くすくす 街中の人間が僕達の事を追い掛ける?
いいよ、楽しそうじゃない」

「うふふ 遊びは賑やかな方が楽しいわ。よかったらお兄さんも参加してね」

俺の無粋な質問に誠意ある態度で返答してくれた二人に対して俺はどうするべきか。
別にバラライカに借りがあるわけではないからな……

「そうだな。
俺の方から触れ回るつもりはないが、場合によっては君達の事を話させてもらう。

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