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Re:ひねくれヒーロー
第一部
死と共にはじまるものは、生である
芽吹いた孔雀草
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・・・お前のぉ・・・」

少し傷ついたように肩を落とし屈んだジジイ
これだけは言わなくてはと、耳元で呟く

「あのさ・・・先生、ありがと」

本当に、ありがとう
素直に感謝したのは何年振りだろうか
神殿時代は感謝なんて形式だけだし、パルコなんか論外だった
もしかしたら転生して初めての『ありがとう』かもしれない

「わはははっ!お前から感謝されるなんて久しぶりだの!
 さぁさ、早く書類に記入せい」

「わかってるよ!」

鞄から厚めの本を取り出して(イチャパラに非ず)下敷き代わりに使う


生年月日は10月10日で血液型はB、性別は男
ん?好きなものとかも書くのか、何に使うんだろうか
好きなものは・・・うーん雑炊かな、嫌いなのは油っこいもの
前世は中華そばが好きだったんだけどな、今はラーメンとか食べると胃が死ねる
好きな言葉は・・・「考えるな、感じろ」・・・燃えよドラゴンだったっけな

鼻歌交じりにさらさらと書きあげて行き、やがて筆が止まる

・・・どう、しよっか

「・・・何故、名前を記入せんのだ?」

訝しげに首を傾ける
そういえば、今まで名乗りすらしなかったな

「うーん、なんていうか名前、ないからねー」

後日、名前がない発言に心底胸が痛んだと語られた

神殿 チカとかどうだろうか
いや女っぽいな、うーん月野 ミコ、駄目だ女性名だ
そういや里長の名前、最初笑ったわーなんだよ月影《つきかげ》 乃斗《ないと》って名前
某美少女戦士のアニメ版にそんなのいたよな月影のナイト様ーって言われてるやつ
静かに腹筋崩壊しながら崩れ落ちた俺は悪くぬぇ!

でも、前世の名前は使いたくないしな、踏ん切りつかないし・・・

この世界で俺を表現できるのは・・・神殿?地下?巫子?九尾?
九尾、パルコか
俺がこんな体になった原因、恨んでも、妬んでも足りない奴


・・・うらみ、ねたみ・・・

それに、




「自来也、俺のこと今日からコンって呼べ」

さらさらと書きあげ、書類を突き付ける

「・・・コン?」

目をまん丸にして問いかけられた
自信満々に笑って答えてやる

「そ、俺は今日から、ねたみ コンだ!」

胸を張り、宣言する
そうだ、俺はねたみ コンになるんだ
人柱力でも、地下神殿の巫子でもない、ただの忍者見習いのコンになるんだ!
名前があるということは胸が温かくなる
何処となく腹部も熱を持ち、思わず腹を撫でおろす

「どっから出てきた?」

「嫉妬に怨恨」

笑ったつもりだったけれど、うまく笑えていただろうか


「・・・(狐だからかと・・・)」
「・・・(安直すぎるな俺)」



急に静まり返っ
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