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木の葉芽吹きて大樹為す
若葉時代・火影編<序>
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「里長かぁ……。なんだかきな臭く感じて来たな」

 憂鬱な気分で空を眺める。
 雄大な景色広がる大空は私の気持ちとは正反対に晴れ晴れとしていた。



 私の零した呟きを耳聡く聞きつけたミトが、夕餉の後片付けをする手を休めて振り向いた。
 近くで忍具の手入れをしていた扉間もまた、私達の会話に聞き耳を立てる。

「里長……ですか。それで、柱間様は何を悩んでおいでなのです?」
「なんでかな? よく分かんないんだけど……胸の当たりがもやもやすると言うか、何か大事な事を忘れている様な気がしてならないんだ」

 ううむ。なんというか、喉に魚の骨が引っ掛かっている様なそんな感覚に近い。
 なんでこんなに気になるのだろうか。
 大事な事……里長の選出は確かに大事だが、それだけでこんなに気になる物かしら。

「まー、この規模の里長ともなれば単純に里内だけでは済まないだろうね。火の国の方からも指名が来そうだし……功績や年齢から言っても、日向の長老殿や志村の旦那が有力だろうね」
「そう済みますかねぇ」
「何だよ、扉間。やけに勿体振ってさ」

 くすくすとミトが笑う。
 それから可憐な微笑みを浮かべながら、私の方を見やった。

「柱間様は、里長になりたいと思われないのですか? これっぽっちも?」
「里長になるのもいいけど、先にしたい事があるからね。長になれば出来る事も増えるけど、出来なくなる事も増えそうだし」

 ある程度木の葉の成長を見届けたら、今度は火の国以外の隠れ里へと訪れたい。
 そうして、以前マダラへ告げた様に次は国と国との間での平和を成立させるのだ。

「オレとしては、扉間やマダラみたいな真面目で責任感の強い奴が里長になるべきだと思うよ。――最も、今のマダラに里長はちょっと難しいだろうが」
「あら? どうしてですか?」
「あいつの頭の中にはうちはしか含まれていないからな。あいつがうちはと同じ位木の葉の事を大事に思ってくれるようになったら、オレは喜んで一票を投じるぞ」

 今の私は千手だけじゃない。
 木の葉の里自体が私に取って守るべき対象であり、一族の垣根を問わずにここに住んでいる人々を守りたいと思っている。
 里の未来を担う子供達の健やかな成長と里に住む人々の幸せを望まずにはいられないと、つくづく感じてる。

「姉者は……随分とマダラの事を評価なさっているのですね」
「そりゃあ、何度も戦場で刀を交わした仲だからな。イズナ君程じゃないけど、あいつのことをそれなりに理解しているつもりさ」

 不貞腐れた表情の扉間の銀色の頭をワシワシと撫でれば、そっぽを向かれる。
 久方ぶりの子供っぽい仕草が可愛くて尚も撫で続ければ、今度はミトがくっ付いて来た。

「どうしたんだ、ミト?」
「――別
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