暁 〜小説投稿サイト〜
SAO─戦士達の物語
ALO編
七十六話 断ち切られる絶望
[6/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
くとするよ。いつかまた会おう。キリト君……リョウコウ君』
「あ、おい!」
リョウが咄嗟にそう叫んだが、既に茅場の気配はなく、辺りに静寂が戻った。

「……で?どうすんだこれ……」
「とりあえず……今は保留かな……それより……」
キリトは、現状では結論の出しようも無いためとりあえず今は置いておく事にして、もう一つ、どうしても心配だった事を呼び掛ける事にする。

「ユイ、いるか?大丈夫か!?」
言うと同時に、世界が一閃に裂ける。真っ二つに割れた黒い空間がひび割れ……砕けると、そこはあの鳥籠の中だった。
空はオレンジ色に染まり、夕日が今日最後の光を放っている。音は風が吹くだけで、静かなものだ。

「……ユイ?」
もう一度呼びかけると、今度は反応があった。キリトの目の前に光が凝縮し、ポンっ!と弾けたかと思うと……

「パパっ!!」
飛び抱いた元の十歳児サイズのユイが、キリトの胸に飛び込んだ。

「無事だったか──よかった……」
「はい……突然アドレスをロックされそうになったので、ナーヴギアのローカルメモリに退避したんですが、再アクセスしてみたらもうパパもママもいなくて……心配しました──」
『……やれやれ』
スッとリョウは一歩下がり、その場でウィンドウを出す。後はキリトが説明するだろう。この場に長居する必要も無い。

直ぐにログアウトのボタンを押そうとしてふと、世界を眺める。
夕日に染まった、妖精の世界。この世界がこの先どこへ向かうのか、おそらくは誰にも分からないだろう。偽りの王は消え、リーファ達もどうなるのかは分からない。

『まぁ、気にしても、しょうがねぇ、か』
少しばかり心配でもあったが、それをリョウがどうこうする事は出来ない。
きっと時が何とかしてくれるはず。そんないささか消極的な事を思いながら、リョウはログアウトのボタンを押した。

────

「ふぅ……」
頭に着けていたナーヴギアを外して、涼人は小さくため息を吐く。

『ギリだ……』
正直若干危なかった。先に奪っていた研究プログラムから、ばれないように偽装しつつ被験者達の脳を奪取するまでは簡単だったが、ゲーム内でオベイロンのIDを持つ須郷を圧倒しようと思うと、リョウの腕ではどうしてもより高位のIDを偽装する必要があったため、時間が掛かりすぎてしまう。
あの時ヒースクリフがIDを貸してくれなければ、サチは救えてもキリト達が何をされていたか分かった物ではない……

「今回ばかりは、マジおっさんに感謝だな……っと」
そう言うと、涼人は椅子から反動を使って立ち上がり、それを元の場所に戻して、いくつかのそうさをしてメールなどを送った後、使っていたパソコンから離れた。
恐らくは和人が明日奈の待つ病院へと向かうだろう。自分
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ