§小ネタ集part2
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なのに。しかも最後こわいから」
「まぁそう言うな。人生何があるかわかったもんじゃない。大体お前少し前に数日間どっか行ってたじゃねぇか」
そう言う須佐之男命に、どこか保護者のようなものを感じて黎斗は一人笑う。保護者。それは、どこか懐かしい響き。須佐之男命が怪訝な顔をしているが、別にそれを教えるつもりはなかった。
この会話の僅か数ヶ月後、水羽黎斗は現世へと旅立つことになる。
彼がまとめた資料は、皆から忘れ去られ、今も机の引き出しに眠っている。結局埃を被っていた。
≪自称魔神≫
幽世に引きこもってから数百年が経過したある日、酒を飲む黎斗の口からとんでもない発言が飛び出した。
「やっぱさ、魔王ってなんかやだなぁ」
「は?」
この時点で須佐之男命は、黎斗は永遠の命に飽きて神殺しの生をやめたくなったのだと思った。だが、次の発言は彼をして想像出来はしなかった。
「だってなんか負けちゃいそうじゃん? 魔王って最後は勇者や英雄、神によって負けるイメージが」
須佐之男命は思わず彼を凝視する。どこか頭でも打ったのだろうか、こやつは。
「……」
彼の沈黙を肯定と受け取ったのか、黎斗は持論を展開する。
「魔神とかかっこよくない?。まぁ魔神が負けないとは言わないけれどさ、魔の王と魔の神くらべてみ? 後者って心にすげぇ響かない?」
「発想が痛々しいぞ、お前……」
黎斗のあんまりな発言に須佐之男命は突っ込む気力も失せた。永久に等しい命は人の精神を蝕むらしいがこれは酷い。一回現世に出して娑婆の空気を吸わせるべきだ。良くなる保証はどこにもないが悪化はしないだろう。それともこれは酔っているのだろうか。いろんな意味で。それなら寝かしつけるのが手っ取り早いのだけれど。
「……媛さんがいりゃあ話は楽なんだがな。酔っ払いの世話押し付けられるし。エルもこんな時に限っていねぇ」
自説を延々主張する黎斗に対し須佐之男命は身代わりを探すも見つからない。ヒートアップしていく黎斗を目に、須佐之男命は彼が酔っ払っているのだと認識する。自説を垂れ流すだけならともかく、それについて絡んでくる酔っ払い程、性質の悪いものはない。
「ちょっとー、スサノオ聞いてるぅー?」
逐一聞いてるか確認してくる酔っ払い。勘弁してほしい。黎斗に飲ませる水を取りに動きたくても、黎斗がそれを許さない。これは覚悟を決めるしかないか。
「あーあー、聞いてるよ畜生ぅ……」
抵抗を断念する英雄神。酔っ払いに逆らうはどこの世界でも下策なのだ。相手に思う存分喋らせてとっとと眠らせよう。下手に歯向かえば喧しい事この上ない。
かくして須佐之男命の憂鬱な一日が幕を開けた。酒
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