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木の葉芽吹きて大樹為す
若葉時代・慰霊祭編<前編>
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く――そして。

「マ、マダラ! お前、何って事を……!!」
「と、頭領。幾ら何でもこれは……」

 私達が見守る中で、ぬいぐるみへと一直線に吸い込まれていったクナイは壁に突き刺さった……玩具なのに。
 それから一瞬遅れて、兎のぬいぐるみの頭部が下へと落ちる。

 …………“頭”だけ、が。

「うわあぁぁあん!!」

 衝撃的な光景を見てしまったうちはの少女が泣き出す。
 隣のカガミ少年も、どうしたらいいのか分からない顔で少女と私達とを見比べている。
 陳列棚に並べられている頭の無くなった兎のぬいぐるみが非常にシュールである。マダラへと視線を移せば、居心地が悪そうに視線を泳がせていた。

「……とにかく。頭だけは手に入ったのだから、それでよかろう」
「ちっとも良くないわ!! 何、子供の幼気な心をずたずたにする様な事言ってるんだ、お前!?」

 見ろ、ヒカクさんも私に同意だとばかりに頷いている。
 うちはの女の子の泣き声を聞きつけて、周囲に散らばっていた子供も大人も集まって来ているし。屋台のおじさんも落とされた頭部を抱えて、所在無さげに佇んでいる。

「つーか、あれ何!? なんで玩具のクナイでぬいぐるみの頭だけが切れんの!? どれだけ力込めたのお前!?」
「拳の一撃で地面を陥没させる貴様にだけは言われたくないわ!! 素手で須佐能乎の防壁に皹を入れる忍びなど貴様以外におらんだろうが!」

 マダラの服の襟口を掴んで揺さぶれば、相手も不機嫌そうに眉を吊り上げて怒鳴り返して来る。
 そのまま互いに互いがどれだけ怪力かを罵り合っていたら、気付けば周囲から人々の姿が失せていた。
 待って、こいつは兎も角、私の事まで危険物を見る視線で見つめないで!

「うわあぁん! 兎の頭がぁ! わあああん」
「ご、ごめんね。まさかマダラが兎の首を千切る様な勢いでクナイを投げるなんて予想もしてなくて」

 一拍置いて、再び泣き出したうちはの少女。
 可哀想に、屋台のおじさんが手にしている兎のぬいぐるみの頭に物凄くショックを受けている。気持ちは分かるよ、お嬢さん。

「その……出来れば胴体の方も頂けないでしょうか? このままだと、この子が流石に……」
「あ、ああ。けど、別々に渡したらもっと泣くと思うぞ」

 おじさんの言う事もごもっとも。
 あんなに可愛らしいぬいぐるみだったと言うのに、頭部が千切れてしまった今は出来の悪い悪夢にしか思えない。本気で今晩の夢に出てきそうだ。
 ヒカクさんが屋台のおじさんと交渉している所に近寄っていって、ぬいぐるみの断面を観察する。
 ……にしても、どうやったら玩具でこんな事が出来るんだろうか。

「でも、これなら何とかなるかな。ちょっと失礼」
「千手の大将、何をするんだ?
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