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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第一章
七話 始まりへ
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としたら……最後には自分の事へと行きついてしまう事は、本当に情けないと思うしかし、そうだとするなら……

ならば自分とクラナの関係は、自分の方から歩み寄って行くべき問題の筈だ。

こんなことを根拠として提示する権利が、自分にあるのかは、なのは自身分からない。きっと、クラナは認めてくれはしないだろうし、彼を無条件で信じられないような自分は……きっとそれを堂々と名乗れはしない。否、名乗ってはならない。しかしそれでも……

「(私は……この子のお母さんなんだから……!)」
なのははクラナに小走りで駆け寄ると、振り返らない彼の右手を取る。

「っ……」
クラナが息を詰めるような音を出したのを聞きながらもしかし、動作をやめない。もう一つ持って来ていた水筒を、しっかりと、クラナの手に握らせた。

「あ……」
「指導、ご苦労さまでした。ちゃんとヴィヴィオの練習に付き合ってくれて……ありがとう」
驚いたような声と共に、クラナの動きが硬直した。一度その取った右手を自分の右手で包むと、彼女はクラナから離れる。右手に握った水筒を、しばらくクラナは見つめているようだった。ヴィヴィオもなのはも、その姿を背中から見ている。当然、表情は見えなかった。やがて……

「……ありがとう、ございます」
「…………!」
そう言ってクラナは歩きだした。言われたなのはは、一瞬茫然としたようにその場に立ち尽くす。しかしやがて……

「……うんっ」
花が咲くように微笑んで、そう返した。
そのまま練習場から出て行くクラナの背中を、ヴィヴィオとなのはは見えなくなるまで見つめ……やがてその姿が見えなくなると、微笑みながら二人で向き合う。そうして……

「「いえーい♪」」
二人でそろってハイタッチ。
何が「いえーい」なのか、本人達にすらさっぱり分からなかったが、それが喜びを表している事は、誰が見ても分かった。

胸の奥の不安は未だに消えたわけでは無かったが、それでもなのはは、ようやくクラナを信じる為の一歩を踏み出すことができたのだった。

────

『いやー、いいですねぇ。なんかホント、急激に接近してませんか?相棒』
『なんだよそれ……別にそんな事無いよ……まだあの人達の笑顔直視できないし……』
テンション高めのアルの言葉に、クラナは自嘲気味に返す。と、クラナは右手の水筒に目を落とした。

『飲まないんですか?』
『飲むよ……』
そう言うと、クラナは片手でその水筒を開け、ゴクリと一口……

「旨っ!?」
[!?]
おどろいて少々大声になったクラナにアルが驚いた。
クラナが声を上げたのは言わずもがな。ドリンクの余りの美味さ故だ。
爽やかで刺激の有る甘酸っぱさと、ほんの少し顔を出すしょっぱさ。それはクラナがこれまでの人生に置いて
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