第三話 部活その四
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「茶道で使っている」
「そう、あれよ」
「あのお茶も好きなの」
「美味しいでしょ。お抹茶は」
「そうね。けれどあれを飲むとなると」
どうかとだ。里香はここでこう言ったのだった。
「やっぱり茶道で?」
「茶道の作法で入れて飲むっていうのね」
「やっぱりそうするのね」
「それはしないから」
「そうなの」
「そうよ。だって普通に飲むものだから」
だからだというのだった。
「そうした時はね」
「じゃあ茶道の作法で飲むのはあくまで茶道の時だけなの」
「特に意識することないのね」
「茶道の時以外はね」
景子は右手の人差し指を立ててそれを前後に振りながら述べた。
「特にいいと思うわ」
「そうなのね」
「そう。別に茶道をいつもする訳じゃないでしょ」
「ここ軽音楽部だし」
「軽音楽部と茶道部のコラボなら話は別だけれど」
これはかなり斬新な発想である。しかし景子は自分で言ってもその斬新さには気付いていないまま話していく。
「それでもね」
「それでもなの」
「別にいいいの。今は」
「じゃあ煎れてそのまま飲んで」
「いいのよ。飲み方もお茶碗を回したりせずに」
この茶道の飲み方もだ。普段はだというのだ。
「そのまま飲めばいいから」
「そういうものなのね」
「そう。気にしなくていいのよ」
景子は明るく話す。
「だからね。気軽に飲む為にね」
持って来るというのだ。その抹茶をだ。
こうした話をしてだった。そのうえで。
部活の練習は今度は発声練習に入った。皆外に出たまま四列横隊になって発声する。その中でだった。
先輩達は彩夏の前に来てだ。こう言ったのだった。
「ええと。金村さんよね」
「そうだったわよね」
「はい、金村彩夏です」
そうだとだ。彩夏は下の名前も出して答えた。
「一年D組の」
「そうだったわね。貴女の発生だけれどね」
「駄目ですか?」
「ううん、全然逆」
先輩の一人が首を横に振ってそうだと言う。
「いいじゃない。凄いわ」
「そうですか」
「前に合唱部でも入ってたのかしら」
「いえ、卓球部でした」
彩夏の中学時代の部活はこちらだった。
「別に発声練習とかは」
「してこなったの?」
「そうだったの」
「はい。そうでした」
彩夏はこう先輩達に答える。
「特に」
「それでその発声なの」
「凄いわね」
先輩達は驚きを隠せないという顔で話す。
「本当にはじめてよね」
「発声練習自体が」
「そうですけれど」
「いや、あまり上手だからね」
「驚いてるのよ」
実際に驚きを隠せないという顔で言う先輩達だった。
「貴女、歌もいいと思うからね」
「頑張ってね」
「はい」
彩夏はこう言われた。そしてだった。
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