第三話 部活その三
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それでだ。こうも言うのだった。
「身体を整えて」
「それからな」
「ええ、今度は発声練習よね」
里香はレモンのその果肉を食べながら話す。その酸っぱさが身体全体に届き彼女の気力を復活させていく。
「それよね」
「頑張れるよな」
「うん、何とか」
こう答える里香だった。
「いけるわ」
「ならいいさ。それにしても夏か」
「路上ライブやるって話だけれど」
先輩と同級生の話を聞いてのことだった。
「夏にもやるっていうから」
「今のうちに走ってな」
「体力つけないと駄目なのね」
「あと水分もちゃんと摂れって言ってたわね」
今度は彩夏が言ってきた。
「だから皆それぞれティーパックやコーヒーも買って部室に置いてるって」
「そういうのはお茶の方がいいわよ」
景子も出て来て話す。当然五人共ジャージだ。琴乃は黄色、里香は青、景子は赤、美優は緑、彩夏はオレンジとそれぞれの色のものだ。
その赤いジャージの景子がだ。こう言うのだった。
「日本のお茶ね」
「麦茶?」
「夏はね」
まさにそれだとだ。景子は琴乃に話す。
「冬は緑茶とか玄米茶で」
「何かおばさん臭い気がするけれど」
「あれ、そうかしら」
「玄米茶っていうとね」
琴乃が言うのはここからだった。
「そんな感じしない?」
「そうは思わないけれど。うちじゃいつも飲んでるし」
「冬はなの」
「ええ。夏は麦茶でね」
景子は実際にこう答えた。
「冬は本当に緑茶かそれで」
「神社だから?」
「貰うことも多くて」
お茶、それをだというのだ。
「いつも家族で飲んでるわよ」
「景子ちゃんが自分で淹れたりして?」
「ええ、そうしてるわ」
実際にそうだというのだ。
「これでもお茶淹れることには自信があるの」
「ううん、何か余計に」
「おばさん臭いっていうのね」
「そんな気がするけれど」
「まあそれでもね」
ある程度受け入れての言葉だった。
「私はお茶よ」
「それだっていうのね」
「そう、日本のお茶」
また言うのだった。
「それがいいわよ」
「確かに。夏の麦茶って」
琴乃もこれにはだった。
「美味しいわね」
「そう。紅茶やコーヒーもいいけれど」
景子もそうしたもののよさは否定しなかった。
「日本のお茶もいいのよ」
「言われてみれば確かに」
「私はそっちにするから」
部室に持っていくものもだというのだ。
「その他にはね」
「その他には?」
「お抹茶もいいわね」
稽古は笑ってこの茶も話に出した。
「あれもね」
「お抹茶っていうとあれよね」
抹茶と聞いてだ。里香は額の汗を自分のタオルで拭きながら言った。
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