第二話 はじめての演奏その九
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「どんどん言ってね」
「私はちょっと」
里香は少し困った笑顔で言ってきた。
「言われるのは」
「駄目なんだな」
「あまり言われると困るの」
そうだというのだ。
「だからね。それはお願いね」
「わかったよ。それじゃあな」
「ええ、そうしてね」
こう美優達に言うのだった。
「悪いけれど」
「いいさ。そういうはな」
「そういうのは?」
「人それぞれだからな」
だからだというのだ。
「悪いって思わなくていいさ」
「そうなの」
「ああ。琴乃ちゃんなんかは」
「私幾ら言われても平気だから」
琴乃はここでも明るかった。まるで太陽の様に。
「安心してね」
「ああ。それじゃあ本当に遠慮なく行っていいか?」
「いいわよ」
実際にこう返すのだった。
「全然平気だからね」
「前向きっていうのかね。それも」
「よく言われるわ。お母さんに」
あの母親にだ。言われるというのだ。
「前向きなのがいいところってね」
「そう言われてるんだな」
「実際にそうなの。だからね」
「じゃあ本当に遠慮なくいくからな」
「そういうことでね」
こう話す。そしてだった。
最後に彩夏がだ。こう言ったのだった。
「私はね」
「どっちなんだ?」
「どっちかっていうと里香ちゃんかしら」
彼女を見ての言葉だった。
「それはね」
「そうなんだな」
「言われるの弱いの」
そうだというのだ。
「私はね」
「じゃあ彩夏ちゃんにもな」
「出来るだけ言わないでね。きつくわね」
彩夏は今度は少し苦笑いになって美優に言った。
「落ち込むから」
「わかったよ。じゃあ穏やかにな」
「そう言ってね。じゃあまだ演奏する?」
「そうだな。するかい?」
彩夏の言葉を受けてだ。美優は他の三人にも問うた。
「今からね」
「それじゃあしよう」
笑顔でだ。最初に琴乃が応えた。
「もう一回ね。楽しくやろう」
「私ももうちょっとしたいし」
「私も」
「私もね」
琴乃に続いてだ。里香達も言う。そうしてだった。
五人は演奏を楽しんだ。彼女達は最初の演奏から大きなものを得た。これが彼女達のバンドプラネッツの誕生だった。
第二話 完
2012・7・18
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