第二話 はじめての演奏その三
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「上手ね。服を着るのもね」
「それも?」
「コツがあるけれどしっかりしてるわね」
「そうなの」
「うん。三人共問題ないわ」
こう言うのだった。
「しっかりしてるわ。じゃあ私達もね」
「ああ、着るか」
ここでまただ。美優はにこりと笑って景子に応えた。
「あたし達もな」
「美優ちゃんも大丈夫よね」
「だといいけれどな。じゃあな」
「ええ、着ましょう」
「巫女さんの服な」
二人は見合って今着ている洋服を脱いでだ。そうしてだった。
巫女の服を着た。景子はその巫女になった美優を見てこう言った。
「いい感じじゃない」
「そうか?」
「やっぱり足ね」
景子は美優のその長い足を見ながら言う。
「足が長いとね。それだけね」
「いいんだな」
「足が長いのは七難隠すよ」
こうも言うのだった。
「スタイルのよさをさらに映えさせるのよ」
「そうなんだな」
「そう。美優ちゃんただでさえスタイルがいいのに」
それに加えてだというのだ。
「足が長いから余計にね」
「そういうものなんだな」
「バンドでもそうよ」
「あたしドラムだから前には出ないよ」
「いいえ、ドラムがないとバンドは成り立たないから」
ギターと並ぶバンドの柱だ。それは事実だ。
「だからね」
「それでか」
「そう。注目されるからよ」
「足が長い方がいいんだな」
「そうよ。それでいいのよ」
「成程。そうなんだな」
「ええ。だから巫女さんの服もいけてるわ」
長身の美優を見上げてにこりと笑っての言葉だった。
「充分過ぎる位にね」
「そうか。何かそう言われるとずっとこのままでいたいな」
二人でこんな話をしてだ。それからだった。
景子はあらためて他のメンバーにだ。こんなことを言ったのだった。それはバンドにおいて極めて大事なことだった。
「あのね。リーダーだけれど」
「ああ、リーダーね」
「その話ね」
「最初の演奏の前に決めない?」
こう他の四人に対して言ったのである。自分も巫女の服を着てから。
「誰にするかね」
「そうね。リーダーは決めておかないとね」
里香も景子のその提案に頷く。
「ちゃんとしないとね」
「そうよね。じゃあね」
「誰がいいかしら」
「里香ちゃんどう?」
景子は最初はその里香に声をかけた。
「リーダー。どうかしら」
「ううんと。私は」
「嫌?」
「そういうタイプじゃないっていうかね」
少し困った監事の顔でだ。里香は景子に述べた、
「子供の頃からそういうのしたことないし」
「そうなの」
「うん。クラス委員とかあるわよね」
具体的にだ。こうした役職の話をするのだった。
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