第二話 はじめての演奏その二
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「それでお願いね」
「わかったよ。で、あたしはな」
「いるの?いないの?」
「いないんだよな。これが」
苦笑いになってだ。美優は彩夏に答えた。
「生まれてこのかたな」
「その顔で?」
「ああ、ちょっとな」
そうだというのだ。美優の苦笑いはそんままだった。
「残念だけれどな。募集中だけどな」
「実は私も」
「私も。そうした経験ないけれど」
琴乃と里香も言ってくる。二人はもう巫女の服に着替え終えている。
「彼氏とかそういうのってね」
「興味あるから」
「誰だって興味あるわよ。そういうのはね」
彩夏も着替えていた。既に上は着終えていて下の袴を着けている。紐を締めながら二人に応えていた。
「私だってそうだし」
「彩夏ちゃんはね。凄く可愛いから」
「そうした話もあるけれど」
「そう言うけれど二人も」
彩夏は今度は琴乃と里香に対して言った。
「かなり可愛いじゃない」
「だよな。琴乃ちゃんと里香ちゃんもな」
美優もこの話題に乗ってきた。二人を見ながら。
「かなり可愛いよな」
「ティーンズ雑誌のモデルやれる位にね」
「里香ちゃんそういう話きたことないか?」
美優はとりわけ里香を見て言った。
「そんな感じだけれどな」
「あるっていったらあるけれど」
「やっぱりそうなんだな」
「うん。八条グループの出版社の」
「八条書店かよ」
「そこのティーンズファッションの雑誌に声かけられたことはあるわ」
「ああ、アップルだよな」
八条グループは出版も行っているのだ。無論日本屈指の出版社だ。しかし殆どの出版社が東京に本社があるがこの会社の本社は神戸、八条グループの本拠地にある。
「それにか」
「うん。スカウトされたことあるけれど」
モデルにだというのだ。
「けれど。そう言うの恥ずかしいから」
「断ったのかよ」
「うん、そうなの」
それでだというのだ。
「断ったの」
「何か勿体ない話だよな」
「いいの。そういう話好きじゃないから」
「モデルには興味なかったんだな」
「今でもね」
高校生になっただ。今もだというのだ。
「好きじゃないから」
「じゃあ仕方ないな」
「うん。後悔はしてないから」
「だといいけれどな。里香ちゃんがそれでいいんならな」
美優も納得した。そしてだった。
ここで景子が戻って来た。景子はまだ私服、下は黒いズボンで上はラフなシャツという格好である。その彼女が来て美優に言ってきた。
「袴、持って来たわよ」
「ああ、悪いな」
「ええ。私も着替えてないから」
「だよな。一緒に着替えるか」
「巫女の服の着方は」
「大体だけれどわかるさ」
にこりと笑ってだ。美優は景子に答えた。
「琴乃ちゃん達も大体だけれどな」
「これでいいよね」
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