第一話 五人その十一
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彩夏がだ。こう言ったのである。
「じゃあクラウンの結成を祝ってね」
「ああ、今からな」
美優もその彩夏に応えてだ。そしてだった。
共に杯を掲げる四人にだ。こう言ったのである。
「乾杯な」
「かんぱーーーーーーーい」
「これから宜しくね」
他のメンバーも笑顔で応えてだ。それぞれコーラやシェイクの入ったカップを打ち合わせる。そうして乾杯したのだった。
琴乃は初日から友人が四人もできたこと、そして部活が決まったことを喜んでだ。家に帰って母にだ。制服姿のままリビングで笑顔で話した。
「もうね。早速ね」
「お友達できたっていうのね」
「そう。それも四人もね」
「よかったじゃない。お友達はね」
「お母さんいつも言ってるわよね」
「そうよ。宝物だから」
母も娘に笑顔で言う。
「大切にしなさいね」
「そうするね。それでね」
琴乃はリビングのソファーに座りテレビのチャンネルを探しながら母に対してさらに言う。その顔はにこにことしている。
「部活も決まったの」
「バスケ部?」
「ううん、軽音楽部」
このことも言ったのである。
「そこにしたの」
「あれ、バスケはもうしないの?」
「最初はそのつもりだったけれどね」
だが、だというのだ。
「成り行きっていうか」
「変わったのね」
「ええ、それでね」
軽音楽部にしたというのだ。
「後。そこで友達ができたの」
「四人。あんたを入れて五人なのね」
「そうなの。それでね」
「軽音楽部だと」
母は台所にいる。そこで何かを切りながら娘に語っているのだ。
「バンドよね」
「うん、その五人で早速ね」
「バンド組んだのね」
「そうなったのよ」
「よかったじゃない、余計に」
「そうでしょ。何か幸先いいスタートよ」
「そうみたいね。じゃあね」
その出だしのいい娘にだ。母はこう言った。
「これから色々あるけれどね」
「それでもなのね」
「幸先いいスタートならそのままね」
「いけっていうのね」
「そう。その四人のお友達は特にね」
「うん、大事にするから」
「そうするわね」
こう話すのだった。
「これからね」
「そうしなさいね。まあ本当にこれから色々あるでしょうけれど」
「それは避けられないわよね」
「何でも起こるものよ」
母は自分の人生経験から娘に話した。
「そしてその時はね」
「その時は?」
「お友達が助けてくれるから」
そうしてくれるというのだ。
「だから。何があっても諦めない」
「しっかりしていればいいの」
「そう。気持ちをしっかりとね」
持っていればいいとだ。母は娘に優しく述べた。
「そうすればいいから」
「何か。難しいわね」
「お母さんの言ってることが?」
「何か難しいし。それ
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