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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#19 "an indelible memory"
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街を護るためにな。
なあ、ゼロ?」

壁際に立つゼロを見上げる。
奴もまた俺を見下ろす。
こいつの目は変わらない。本当に"あの時"のままだ。
久し振りに視線を交わしながら、確信する。こいつはやはり"ゼロ"なのだと。

「どうなんだ?
俺は覚悟を決めなければいけないのか。お前は覚悟を決めたのか。全てを終わらせるつもりなのか。
お前はどうしたいんだ、ゼロ」

ゼロは一度たりとも目を逸らそうとしなかった。
俺が何を語りたいのか分かっていたからかもしれない。
その上で俺がどんな表情で"あの時"を語るのかを確認したかったのかもしれんな。

「………」

「………」

「………」

波紋は既にその役目を終え、姿を消そうとしている。
室内は再び静寂に包まれ、俺達三人の息遣いの音すら耳には届かない。
混乱と喧騒の街、ロアナプラにはあまりに似つかわしくない情景。
だが、その稀少さと魅力を味わえるほどには洗練されていないらしいな、俺達は。

「張」

低く短く、自分の名前がゼロの口から発せられた時。
俺はほんの僅かではあるが解放されたような気分を味わった。

まだ何も終わってはいない。寧ろ始まりかも知れないというのにな………









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