第14話
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「そうしなければインデックスが死んでしまうからですよ。」
上条の呼吸が死んだ。
神裂は肩を震わせながら言った。
「言ったでしょう、彼女の脳の八五%は一〇万三〇〇〇冊の記憶に使われている、と。
ただでさえ、彼女は常人の十五%しか脳を使えません。
並みの人間と同じように「記憶」していけば、すぐに脳がパンクしてしまうんですよ。」
「そ、んな・・・だって、おかしい。
お前、だって、残る十五%でも、俺達と同じだって・・・・」
「ですが、彼女には完全記憶能力があります。
完全記憶能力は先ほど彼が言ったように見た事、聞いた事を全て記憶して忘れる事が出来ない症状です。
街路樹の葉っぱの数から、ラッシュアワーで溢れる一人一人の顔、空から降ってくる雨粒の一滴一滴まで「忘れる」事の出来ない彼女の頭は、そんなどうでも良いゴミ記憶であっという間に埋め尽くされる。
元々、残る十五%しか脳を使えない彼女にとって、それが致命的なんです。
自分で「忘れる」事の出来ない彼女が生きていくには誰かの力を借りて「忘れる」以外に道はないんです。」
「いつまで、だ?・・・・アイツの脳がパンクするまで、あとどれくらい保つんだ?」
上条は聞いてしまう、否定ではなく質問してしまった時点で心のどこかが認めてしまっていた。
「記憶の消去はきっかり一年周期に行います。
あと三日が限界です。
早すぎても遅すぎても話になりません、ちょうどその時でなければ記憶の消すことが出来ないんです。
あの子の方も、予兆となる強烈な頭痛が現れていなければ良いのですが。」
神裂は明らかに顔色が悪くなっている上条を見て一瞬悲しい表情になる。
だが、すぐに魔術師のインデックスの仲間としての顔に戻る。
「私達に彼女を傷つける意思はありません、むしろ私達でなければ彼女を救う事は出来ない。
引き渡してくれませんか、私が魔法名を名乗る前に。」
上条は目の前にインデックスの顔が浮かんだような気がして奥歯を噛むように目を閉じる。
「それに記憶を消してしまえば彼女は貴方の事も覚えていませんよ。
今の私達を射抜く目を見れば分かるでしょう?
貴方がどれだけ彼女を想った所で、目覚めた彼女にはあなたの事は「一〇万三〇〇〇冊を追う天敵」にしか映らないはずです。」
神裂の言葉を聞いた上条はわずかな違和感を捉え、その違和感が一瞬で爆発する。
「ふざけんな!アイツが覚えているか覚えてないかなんて関係あるか!!
俺はインデックスの仲間なんだ、今でもこれからもアイツの味方であり続けるって決めたんだ!!
それに何か変だと思ったぜ、アイツが「忘れてる」だけなら、全部説明して誤解を解きゃ良いだけの話だろ?
何で誤解のままにしてんだ
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