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万華鏡
第七話 お泊り会その八
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「じゃあ今からね」
「楽しもう」
「飲んで食べてな」
「五人でね」
「ワインはもうかなりあるから」
 一人あたり二本はある。一ダースは用意してある。
 紅茶もあるがそれでもだった。五人はお菓子とワインを見て言うのだった。
「最初はスコーンでね」
「それからサンドイッチで」
 お菓子は三段で置かれている。まさにイギリス風だった。
 上にはスコーン、真ん中にはサンドイッチ、そして下にケーキだ。そこにエクレアやフルーツも置かれていうのだ。
 美優はその中のケーキを見てこう言った。
「これってやっぱりあれだよな」
「うん、私が作ったの」
「琴乃ちゃんがだよな」
 見れば普通のお菓子の様に奇麗ではない。お店で売られているものの様に整ってはいない。かなり雑な外見だ。 
 その生クリームがはみ出て苺が滅茶苦茶に乗せられているケーキを見てだ。美優は微笑んで言うのだった。
「何かいいよな」
「相変わらずって思わないの?」
「いや、不恰好だっていうんだよな」
「だってそうよね」
 自分で作ってもこう言う琴乃だった。
「こういうのが不恰好なのよね」
「確かに形はぐしゃぐしゃしてるけれどさ」
 美優は嘘を言わない。だからこう言ったのである。
 だがそれでもだ。ここでこうも言うのだった。
「いいんじゃね?」
「いいの?」
「前のラーメンの時も言ったけれどさ。料理ってのは心だから」
「心があればいいのね」
「これだってさ」
 最初のスコーンを手に取ってかじる。そして言う言葉は。
「外見は何だって思うよ」
「味はどうなの?」
「ああ、いいよ」
 この評価は変わらなかった。
「多分本場のよりずっと美味しいよ」
「いや、イギリスはちょっと」
「まずいらしいけれどさ、かなり」
「それでも美味しいのね」
「ああ、美味いよ」
 そうだというのだ。
「それもかなりさ」
「美味しいのはいいけれど」
「引っ掛かるっていうんだよな」
「だって。イギリスだから」
 それに尽きた。この場合は。
「あの国って凄いらしいから」
「私言ったことあるけれど」 
 里香がここで名乗り出てきた。スコーンを食べながら。
「サンドイッチなんかもうね」
「どんな感じだったの?」
「スパムあるじゃない。缶詰の」
「ああ、あれね」
 琴乃もスパムのことは知っていた。所謂豚肉を加工したものでランチョンミートとも呼ばれる。中々味がいい。
「あの缶詰のサンドイッチね」
「あれとか。他のサンドイッチも」
「どんなのだったの?」
「種類も少ないし」
 そもそもサンドイッチの種類自体が少ないというのだ。
「パンもぱさぱさで味付けがなくて」
「ないの」
「味がないのよ」 
 里香は困った顔になって琴乃にこのことを話し
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