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SAO編−白百合の刃−
SAO29-ヤンキーガール
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いことにしといてユリエールさんに謝ろう。
 
「ユリエールさんすみませんね……」
「い、いえ……」
「ユリエールさん?」

 一体どうしたんだろう。ユリエールさんが笑いを漏らさないように堪えていた。
 
「お姉ちゃん、初めて笑った!」

 ユイちゃんが嬉しそうに叫ぶと、ユリエールさんは満面の笑みを表した。

「超くだらないことに対して笑われているわ。良かったわね、貴方達」
「悪かったな、超くだらなくて」
「なによ、ドウセツ! 自分だけ関係ないような顔して」
「おめぇ、ホントいちいちムカつく野郎だな!」
「ドウセツさん、流石に酷いですよ……」

 ドウセツの煽るような発言に対するカエル肉で口論していた四プレイヤーは不満を口にする。そんな姿を見て、ユリエールさんはクスクスと笑っていた。
 どのような形にせよ、笑っていることはなによりも良いことだ。笑顔は何よりも勝らない大切な証。ユリエールさんのことだから、シンカーさんのことで頭がいっぱいで余裕がなかったと思うから、笑うことで少しはリラックスできたはずだ。それにユイちゃんも最高の笑顔を見られたし、良いこと尽くしだ。
 ふと、ドウセツと手を繋いでいるスズナに視線を向ける。私達のやり取りをただ見ていた様子と言ったところだ。
 ……ユイちゃんは、昨日のよりも感情が豊かになったというか、成長した様子だった。昨日の発作の件で感情が入ったと言うか、戻ったのか、もしかしたら生来の性格が蘇ったように変わったんだろう。だけど、スズナはユイちゃんのように特に変わったところは見えないでいる。もしかしたら、元々のそういうような性格なのかもしれない。

「……お父様」
「ん?」

 私の視線に気がついたスズナは小さなお口で発言した。

「頑張って」

 頑張って。小さな声ながらも綺麗に耳へと届いていた。それを私はしっかりと受け止めた。
 受け取ったものの、スズナは私になにを頑張ってと言ったのか理解できないでいる。スズナがどんな気持ちで言ったのは本人に訊けばわかるんだろう。でも、不思議となんとなくだけど理解している私がいる。勝手で矛盾な思いかもしれないけど、私にしかできないこと、みんながいればできることがある。
 だからここはあえてスズナには聞かない。違ったとしてもその選択は間違いではないはずだ。

「頑張るよ」

 スズナと同じ目線になるようしゃがみ、頭を撫でて優しく返事する。

「私としては、少しカッコ悪いところも見たいわね」
「嫌ですよーだ」

 べーと、舌を出しながらドウセツの言葉を拒んだ。そういうコミカルなところは、全部終わってから悩んであげますよ。
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