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SAO編−白百合の刃−
SAO29-ヤンキーガール
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 食事を取り、アイテムを確認し、武装を整えた私達はユリエールさんの先導に従い街路を進んでいく。これからシンカーさん救出作戦が決行するためにもだ。

「あ、あの……」

 後ろからイチが声をかけてきて振り返ると、深緑色の全身ガッチガッチのゴッツイ鎧姿に一瞬びっくりしてしまう。
 それは仕方ないことだと思うんだよね。小柄で噛みまくる基本的におとなしい女の子が、下手に近づいてしまうと食べられてしまいそうな恐くて重そうでトゲトゲしい鎧を着用しているのだ。初見もビビるし、慣れてもビビる。
 まずイチの問いかけに、これを言うべきだな。

「い、イチさ……まだ戦闘に入らないから、さ……それ脱いだら?」
「大丈夫です。重くないですし、作戦はもう始まっています。いつ何が起きても守れるようにしていますので」
「そ、そっか……」

 ご、ごもっとな意見だった。その存在感だけで我々を守ってくれるに違いない。もし私が悪党だったら返り討ちに遭いそうだから下手に近づかないな。

「それでさっきなんか言いかけたけど?」
「あ、はい。その……ユイちゃんとスズナちゃんを連れてっていいのでしょうか?」

 イチの表情は悪魔のような形をしたヘルムをかぶっているので、どんな顔をしているのかはわからないけど、心配していることはわかった。
心配はない。多分、大丈夫だと思っている。だって守れればそれでいいんだもん。だけど、例外があることを私は知っている。サーシャさんに預けておけばさまざまな危機に巻き込みこまれることはない。私も最初は教会に預けようとしたけど、ユイちゃんもスズナもシンクロしたかのように一緒に行くって頑固に言うもんだから、それに主張に負け、二人に甘えてしまった私達は二人も連れて行くことにした。
 それでも二人を守れれば何も問題はないはずだ。そうしなければ、いけない。何が何でもスズナを、ユイちゃんを死なせてはいけない。
 
「大丈夫。いざとなれば、転移結晶で脱出すればいいんだから」
「そうですけど……それでなんとかなるのですかね……」
「絶対とは言い切れないけど、基本的に問題はないよ。兄がいて、アスナとドウセツもいる。そしてイチがいて、その助っ人も来てくれる。そうでしょ?」
「……そうですね。うん」

 イチは先ほどよりも不安が解消されたみたいだ。

「すみません。どうしても、万が一って考えちゃうので……」
「それは仕方ないし、イチは別に間違っていないよ」

 まぁ、難しく考えていざとなったらスタートダッシュに失敗して後悔するんだったら、少し緩んだ方がいいと思うんだよね。当然、緩みすぎには気をつける。何事も柔軟に。

「問題のダンジョンってどこなの?」

 ドウセツはユリエールさんに訊ねると、返した言葉は簡素だった。


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