第十一話
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0代前半くらいとネヴィラは推測していた──少女のような可愛らしさに羨ましさすら感じたのを憶えていた。
「私はポアーチ・トリマです。貴方のような美しいお嬢さんが、この家の嫁に来てくれるなんて妻が嫁に来て以来の驚くべき快挙です」
尻尾は垂れたままだが、キリっと表情を引き締めたポアーチが、ネヴィラの手をとって挨拶する。
こうしているポアーチはすこぶる格好が良い。元々整った顔立ちに渋さもあり、これでモテないのが信じられないほどだった。ネヴィラはこうして見るとエルシャンと似てるなと感じ、将来のエルシャンの男っぷりに期待が膨らむ一方で、今の可愛いさの残るエルシャンも良いと思っている。
エルシャンを愛すると決めた彼女に迷いは無いというよりも痘痕も笑窪。自分にとって生涯たった一人の男であると思えば全てが愛しいく思える。
人間として聡明な彼女であるが、それと異性関係における聡明さは別なのであった。
「ん?」
気付くと小さな二人の女の子が、足元で自分を見上げている事にネヴィラは気付く。
「ねぇ、お姉ちゃんがベーのお姉ちゃんになってくれるの?」
「お姉ちゃん。ムーもムーも!」
そう言いながらベオシカがネヴィラの足にしがみ付くと膝に額をぐりぐりと押し付けてくる。そしてそれを見たムアリも姉を真似て額を押し付け始める。
「あのね──」
あまりの2人の可愛らしさに思わず「そうそう私がお姉ちゃん」と言いそうになるのを抑え、まだ結婚が許された訳ではないからと言おうとするのをユーシンの言葉が遮って答える。
「そうよ。エルシャンと結婚してベーとムーのお姉ちゃんになってくれるのよ」
「えっ?」
必要な過程を無視したいきなりの断定についていけず頭の中が真っ白になる。
確かに、今日この家を訪ねたのは、エルシャンとの交際について彼の両親に許しを貰うのが目的ではあるが、まだ挨拶程度の軽い自己紹介しか済ましていない。
「えっ? もしかして……エルシャンとはそこまで具体的な話には進展してなかったのかしら? いやだ先走っちゃった?」
一方すっかりネヴィラを嫁に迎えたつもりだったユーシンだが、ネヴィラの様子に少し気まずそうに尋ねる。
「違うんです。将来的には結婚ということは私も彼も考えていますが、今日はご両親に私達の交際をお許し──」
「許します! だから息子と結婚してください」
ネヴィラの言葉を再び遮ったユーシンは彼女の手を取ると頭下げる。
「私からもお願いします。どうか息子と結婚してやってください」
「先生。お願いします」
「おねがいします」
「お姉ちゃんおねがいします」
続けて、家族一同ネヴィラに頭を下げて頼み込む。
「こ、これは?」
想定外の展開に困ったようにエルシャンを振り返る。
「家の跡取りに嫁いでくれるなんて奇特
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