第十一話
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絶対に応援するから、兄ちゃんも頑張れ!」
どうやらウークは姉が欲しかったようだ。出来るなら弟も欲しいのだろう。
「でも兄ちゃん頑張りすぎて、ちょっと嫌われたのかも……嫌われたんだろうな、どうしよう」
「謝ろうよ。僕も一緒に謝るから」
今日ほど弟を頼りになると思ったことは無かった。
「そうしようか」
そう答えながらも、もう少し時間を置いた方が良いような気がするが、置かない方が良い気もして悩む。判断の過ちがネヴィラとの仲を決定的に駄目にしてしまう事が怖いのだ。
こんな怖さもエルシャン──田沢真治は恋愛に感じた事はなかった。
ウークに引っ張られるようにして準備室の前にやってくる。
どうやって声を掛けたら良いものかと考えているとウークがいきなりドアをノックする。
「センセー入るよ」
そう言うと返事も聞かずにドアを開けてしまった。
全く空気を読めないと言うよりは読む気が無いウークの思わぬ行動に、互いに心の準備を整える間もなく部屋の入り口を挟んで顔を会わせることになった2人は戸惑い、見詰め合ったまま動けない。
だが、そんな事などお構い無しにウークは、先生と兄ちゃんを結婚させて、先生を姉ちゃんにするという目的に向けて邁進し続ける。
「兄ちゃんも入って、入って」
まるで自分が部屋の主であるかのようにエルシャンの腕を掴むと部屋へと引っ張り込む。
準備室は教師個人に与えられる個室のためにさほど広くは無い。
僅か数メートルの距離に居る相手を2人は互いに見ることが出来ない。互いに相手を意識し始めた中学生のような初々しさ──2人の年齢の平均をとれば確かに中学生の範疇に納まるが──であるが、今この場を支配するのは空気を読まない暴君だった。
「先生に謝って」
エルシャンの袖を引っ張りながらウークが促す。
「あ、ああ、ネヴィラ先生。先程は大変失礼いたしました。えっと、何て言うか、その……あそこまでする気は無かったんです。自己紹介出来れば良いなってくらいのつもりだったんだけど……出来れば、告白したいとは思ってたんですけど……それは難しいと思ってたんだけど……ちょっと自分でも分からないくらいに気持ちが……あんな強引な真似を……でも好きだって気持ちは本当で、その……いや、言い訳ばかりしに来たんじゃなく、本当にごめんなさい」
何度も言葉に引っかかりながら言うと深々と頭を下げるが、言われた方のネヴィラも困った。
冗談や悪戯ではなく、本気で目の前の少年が自分に好意を示している事は、そんな経験がなかった彼女にも分かる。そして自分の気持ちが彼に傾き始めている事も自覚せざるを得ない。
しかし、つい先程一度面識があっただけで互いに名前しか知らないのだから、自分が彼のことを知らないように彼も本当の自分の事を知らない。一時の感情に
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