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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
2nd bullet 《the last days of Roanapur》
chapter 01 : meeting
#17 "It\'s a wonderful world!"
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銀色でウルフカット。もしくはショートのウルフボブと言えば いいのかな。あまり詳しくはないんだが。
服は何処かの学校の制服のようだ。黒を基調としているせいか、人によっては喪服のようだと捉えるかもな。ショートパンツに上はコートか。胸元にリボンまで着けて、一体誰の趣味なんだか。
「あら、お兄さんまだ生きてたの? とっても強いのね♪」
後ろから聞こえてきたのは追い付いてきた"BAR"の声。
俺は身体を90度右に捻り、一歩退がりながら両者を視界に納める。
"BAR"の方も同じ銀色の髪。ただストレートのまま伸ばした髪は腰まで届いている。
頭には胸元にあるものと同じ黒いリボン。
そして"トマホーク"と全く同じ顔。さすがは双子だ。それにしても良く似ているな。
フリルの付いたロングスカートを身に纏う "BAR"を観察しながら、 俺はそんな感想を抱いていた。
「姉様、このお兄さんスゴいんだよ。僕の斧を器用に避けるんだ」
"トマホーク"が"BAR"に向いて笑顔で話し掛ける。相変わらず手斧を弄びながら。
「ええ、分かるわ。兄様。私もさっき撃とうとする前に避けられてしまったの」
此方も笑顔で返事をする。勿論ライフルを腕に抱えたままで。
兄妹か姉弟か知らんが、手に抱えてるものを無視すれば実に微笑ましい光景だ。全くこの街には似合わんが。
「どうしようか、姉様」
「どうしましょうか、兄様」
笑顔のままで言葉を交わし合う二人。仲の良い二人に割って入るのは忍びないが、このままと言うわけにもいかんしな。少し話し掛けさせてもらおうか。
「話し中済まないが、俺の話も聞いてもらえないか」
両手を挙げた状態で双方に目を配りながら話し掛ける。
内心では結構緊張しながらだってのは誰にも言えんな。
「「何?お兄さん」」
二人が同時に声を掛けてくる。一応武器は向けてはこない。その顔は愛らしい笑顔のままだ。
顔は動かさず目だけを二人に向けながらゆっくりと口を開く。
「君達の目的はマフィア連中だと思っていたんだが違ったかな?
俺はただの運送業者でこの街のマフィア共とは関係ないんだがな」
二人は視線を交わした後、交互に語り出す。
その場から動かないまま語る二人と、それを大人しく聞いてる俺。
そんな滑稽とも言える情景を見ているのは空に浮かぶ月だけだった。
此処等は街でも人気のない通りだからな。
………二人は何故こんなとこにいたんだろうな。
まあ、俺も他人の事は言えないわけだが。
頭の片隅でそんな事を考えながら、俺は改めて確信した。
11月はやはりろくでもない事が起こる。きっと今は12時を越えているに違いない。
全くとんだシンデレラ・タイムだ。取り敢えず今夜はこれからどうなるんだろ
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