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『彼』とあたしとあなたと

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ていけると。何も変わらないまま、のんびりと過ごしていけると。そんな、勘違いをしていたから。だからーーー…。



 不変なんて、そんなの、あるわけがないのに。



 邪魔ものと分かっていながらも、それでも犀から離れないのは自分のため。だってあたしは小学校から犀とずっと一緒だもの。後から来て彼が好きだなんだのといって引き離そうとするのはおかしい。あたしも犀のこと好きだから。犀だってそんなこと絶対望まない。恋愛じゃないよ。そんなのじゃない。だから、もう少しだけそばに居させて。


 いつか、犀の隣には日紅じゃない人が寄り添っていくだろう。微笑みあって、手と手をとって支えあえる人が。



 大丈夫、それはわかってるんだ。



 ただ、ただ…それまでの、ほんの少しの間だけでいい、一緒に居させて。何も考えずに3人で笑っているだけでいい、あたしの日常を奪わないで…。



 なんて高慢で、独善的で、汚いこころ。



 …くるしい。



 何も変わっていないように見える日常も少しずつ変化している。



 日紅はその全てに耳を塞いだ。目を瞑った。何も気づかないフリをしていた。



 日紅の足元は大きく崩れかかっている。それは決して止まらない。日紅が変わらない限り。



 何もかもが日紅の手からすり抜けてしまう。


















 ほら、答えなんて、こんなにもすぐそばにあるものなんだ。



 日紅のなか。



 考えないようとしている頭の中、心の底で、ずるい計算して、何も知らないって顔で、ずっと、ずっと、犀を傷つけ続けてた。



 一緒にいるか、離れるか。



 きっと、犀は明日には笑ってくれる。



 日紅が気にしないように、また、いつもみたいに笑ってくれる。



 でも、それじゃ、だめなんだ。



 離れることを犀は望まないだろう。日紅だって嫌だ。でも、犀のこころにちゃんと正面から向かうには、だらだらと甘えるだけじゃダメなんだ。



 ちゃんと日紅が自分の心と向き合って、答えを出さなきゃいけない。




















 日紅は空を見上げた。



 あおいあおい空だった。



 どこまでもひろがるそら。



 明日も、変わらずそれはそこにあって、好きとか嫌いとか苦しいとか楽しいとか、いろんな感情を全部その腕に抱えて上からこの世界を包んでいるんだろう。



 日紅は泣いた。



 日紅から見えないところに犀がまだいたことも全く気づ
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