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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#15 "I want to……"
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ってきてやがった。
さあ、何を
囀
(
さえ
)
ずってくれるんだ?
アタシはロックに気付かれない程度に小さく笑った。
この"茶番劇"ももうすぐ終わる。ここまで付き合ったんだ。最後まで楽しませてくれよな、ロック。
「………俺は逃げないよ」
アタシから目を逸らさないままロックは話し出した。"最期の言葉"をな。
「俺は逃げない。逃げるわけにはいかないんだ。
お前に対して色々言っちまった。
好き勝手な事を言った。酷い事も言った。言いたい事を言った。腹の中に溜まってたもん全部ぶちまけた。
これで逃げ出しちまったら、俺は格好悪過ぎるよ。
あそこまで言っておいて、お前にあれだけ格好悪いなんて言っといて、自分は逃げ出すなんて出来ないよ。
レヴィ。
俺が君に言った事は否定しない。否定はしないけど、謝っておく事はある。
俺があそこまで言ってしまったのは君のせいじゃない。俺のせいだ。俺が弱いからなんだ。
この街で君やラグーン商会のみんなと出会って、俺の世界は一変した。
何もかもが新鮮だった。
戸惑う事も多かったけど、君達と一緒にいる事は楽しかった。
今まで住んでた自分の世界が何だかちっぽけなものに思えて。その世界にいた自分自身もちっぽけなものに思えて。
一緒に船に乗って、一緒に酒を飲んで。たまに荒事に巻き込まれたって、それすらも何だか楽しかった。
……ものすごく怖い思いもしたけれど」
ロックは目だけを動かして空を見上げた。アタシの向こう側に見えているであろうロアナプラの空を。
「だから君達に憧れた。君と、ゼロに。
君は強かった。そして自由だった。つまらないものになんて縛られない、強くて綺麗な女主人公。……ちょっと口は悪いけど。
ゼロは何て言えばいいんだろうね。何もかも分かっているようで、自分一人で何だって出来るような。
でも、そうはしない。必ず誰かに手伝わせる、ソイツが出来ないと言っても駄目だ。お前は出来るって言って、無理にでもやらせる。
結果として本当にソイツが上手くやったらこう言うんだ。
見ろ、やれば出来るじゃないか。俺は何もしちゃいない、やったのはお前だ、ってね。
そんな事言われたらさ、言われた方は堪らないよ。
憧れるに決まってるじゃない。あんな風になりたいって思うさ。
……無理だと分かっていてもね。
レヴィ。
手の届かない空を見上げてたのは、俺もそうなんだと思う。
君達に勝手に憧れて、格好悪いとこばかり見せて、全然理想に近付けない事に苛ついてた俺自身なんだと思う。
今もこうして喋ってるけど……
本当はすごく怖いんだ。どうしていいのか分からないんだ。
……結局俺はなれなかったよ。彼にも、"ロック"にも。
悔しい、すごい悔しい。もっと君達と一緒にいたかった。もっとこの街で
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