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八条学園怪異譚
第二話 嫉妬その十一

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「また頑張ろうね」
「ええ。ただね」
「ただ?」
「ここのかるた部ってどんな感じかしら」 
 愛実は気弱な感じの顔になって聖花に尋ねる様にして言ったのだった。
「怖い先輩とかいないかしら」
「ああ、先輩ね」
「顧問の先生とかも」
「結構変な人っているからね」
「そう。大丈夫かしら」
「そうした人がいてもね」
 聖花は隣からだ。っこう愛実に言ったのである。
「私がいるから」
「聖花ちゃんが?」
「そう。愛実ちゃんに何があってもね」
 優しいが芯のある言葉だt6た。
「私は絶対にいるから」
「何があっても?」
「うん、それでもね」
 こう愛実に言うのである。
「私がいるからね」
「聖花ちゃんがいるから」
「そういうね。いじめとか嫌いだし」
 聖花は愛実のことを心から思っていた。だが彼女はこの時自分では気付いていなかった。その気付いていないことはというと。
 自分がそうなるとは思ってもいなかった。過去そうした経験はなかった。それでこう愛実に言ったのである。
「意地悪とかもね」
「嫌いだから?」
「うん。相手が先生でも先輩でもね」
 聖花は前を見てしっかりとした声で愛実に話す。
「そんなこと許さないから」
「けれど。先生が相手だと」
「大丈夫よ。無敵の人なんていないから」
「いないの」
「そう。誰だって絶対に弱いところがあってね」
 このことは欠点も含まれていた。
「そこを衝けばいいのよ」
「そうなの」
「そう。だからいいの」
 こう言うのだった。愛実に対して。
「そういう時は私に任せてね」
「私がいじめられたら」
「ほら、小学生の時覚えてる?」
 聖花は前を見てそのうえで愛実に話した。その時のことを。
「愛実ちゃん男の子達にいじめられてたことあったわよね」
「一年の頃のことよね」
「うん。その時のことね」
「覚えてるわ。私あの時から背が低くておどおどしてて」
 その弱さはだ。愛実も自覚していた。
「男の子達に目をつけられて」
「それでも。私あの子達に言ったわよね」
「私をいじめるなって」
「はっきり言ったらあの子達すぐに逃げたわよね」
「うん、そうなったわよね」
「お母さんに言われたの」
 聖花が話に出すのは母だった。他ならぬ聖花自身の。
「いじめをする人は弱いの」
「弱いの?」
「そう、弱いってね」
 その言われたことをだ。今愛実に話すのだった。
「そう言われたの」
「どうして弱いの?」
「ううんと。難しいことを言われたんだけれど」
 高校生ではまだ完全には理解しにくいことだった。だがそれでも聖花は母に言われて覚えていることを今愛実に話した。
「心が弱いってね」
「心が?」
「そう。心が弱いから」
 それでだというのだ。
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