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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#14 "qualification of hero or heroine"
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。泣き言たわ言安い同情甘い理想ほざくな………
冗談じゃねえぞ。テメエが見てるもんだけが現実じゃねえんだ。テメエだけが辛い思いしてるわけじゃねえ。俺は言いたい事を言わせてもらう!もう我慢なんかしない!」
……未だだ。未だ"その時"じゃない。目の前で此方を睨みつけてくるロックの視線を受け止めながら、アタシはただ"その時"を待っていた。
Side ロック
全身が熱い。
喉の奥から何かが競り上がってくる。空いてる左手で喉元のボタンを引きちぎる。
大きく息を吸い込む。肺の中が熱い空気で満たされる。
この街の空気だ。
俺が自分で望んだ、俺が自分で残る事を選んだ
ロアナプラ
(
この街
)
の空気だ。
俺はその熱い空気をぶつけるように吐き出す。腹の中で溜まりに溜まってたものと一緒に。
これから俺の人生がどうなるか知らないけど、間違いなく忘れられないであろう彼女に向けて。
俺の人生を決定的に変えてしまった彼女の目を見ながら。
「テメエは自分が正しいと思ってんだろ?
金を求めて、銃を振り回して、気に入らねえ事を言う奴がいたらご自慢の銃で黙らせる。 そういう生き方が正しいと思ってんだろ?
お可哀想な過去を生きてきた
二挺拳銃
(
トゥーハンド
)
様の導き出した人生哲学ってやつか、それが?
金でもいい。銃でもいい。"力"だけが正義か?そんなに"力"がないと不安か?
他人
(
ひと
)
の考えを受け入れるのがそんなに怖いか?
自分と違う人間は常に馬鹿にしてないと、自分が馬鹿にされそうで怖いか?
何ビビってやがんだよ。ああ、海賊様よ。
ずっと言ってやりたかったんだよ。テメエはビビってんだよ。
俺に。ゼロに。自分が解んねえものに。自分を変えちまいそうなものに」
握った拳に汗が滲む。額から眉じりを通って汗が顎まで滴り落ちて行くのを感じる。
俺はそんなものに構わず一心にレヴィを睨み付ける。
ただ黙って話を聞いている彼女は何を考えているのか。頭の何処か冷静な部分でそんな思考も浮かんだが、俺の口は吐き出し続ける。熱い空気と、俺の思いを。
「テメエは言ったよな。
この世に神も愛もありゃしねえ。そんなもん生きてく上で糞ほどの役にも立ちゃしねえと。
おお、上等だよ。素晴らしい考え方だよ。
じゃあテメエはそうやって生きていけ。
地べたを這いずり回りながら、ドブにまみれて生きていけよ。いつだって誰かを羨ましがって、恨めしそうに何かを見上げながらな。
涎垂らして、腹空かせて、あれが欲しい、これが欲しい、ってよ。
いつまでも手の届かないものに憧れ続けろよ。
俺は御免だぜ。テメエみたいな生き方はな。
覚えてるよな?
俺は切り捨てられたんだ。日本のちっぽけな会社を守ろうとした糞上司に
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