第十四話 茶道部の部室でその十
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んじゃぞ」
「いや、それはわかってるから」
「どうしてここいるのかもね」
「では聞くまでもなかろう」
こう言ってまた茶を飲む。
「わしはこうして夕方にくつろぐ妖怪じゃ」
「全く。ナチュラルにいるけれど」
「本当に皆気付かないわね」
「誰もあんたに声かけないし」
「落ち着いていられるのね」
「わしを見えてはいても特に何も思わんのじゃ」
そうなっているというのだ。
「道の石ころには気付かないものじゃな」
「まあ見えてても意識しないけれど」
「石ころなんていちいち」
二人は答えながらここでこれを話に出した。
「何処かの猫型ロボットの道具でもそうだけれど」
「そういうものだからね」
「そういうことじゃ。わしに気付くのはわしのことを意識しておるからじゃ」
だからだというのだ。
「普通は気付かん」
「まあ私達も話を聞いてないと気付かなかったわ」
「そういう妖怪がいるとかね」
「見てみるのじゃ。皆わし等が話をしていることにも気付かん」
皆部活に集中している、かるたの激しい取り合いが行われている。
「この通りのう」
「ううん、それでここにいるのね」
「今日は」
「前からかるた部には何度か来ておるぞ」
「っていうと私達が入学してからも」
「いたことがあったの」
「そうじゃ」
まさにそうだというのだ。
「おったぞ」
「それで気付かないって」
「本当に妖怪って」
「妖怪はいつも人と共におる」
ぬらりひょんは悠然として語る。
「後は気付くかどうかじゃ」
「そういうことなのね」
「妖怪って」
二人は少し首を傾げさせながら話をした。そのうえでかるたをしていくが二人以外の誰もぬらりひょんに気付くことはなかった。
第十四話 完
2012・10・31
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