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八条学園怪異譚
第一話 湧き出てきたものその三
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こんなことを言った。
 今は二人で仲良く一緒にいる。共に中学の帰り道を歩いている。
 その中でだ。こう言ったのである。
「あのね」
「どうしたの?」
「うん。よくドラマとかであるじゃない」
 夕刻の赤い道を歩きながらだ。自分の横にいる聖花に言うのだった。やはり背は彼女の方が高い。
 そしてだ。こう言ったのである。
「運命の出会いっていうか」
「あっ、恋愛ドラマとかね」
「小説でも漫画でもね」
 そうしたものの話をしするのだった。
「そんな話私にはあるかな」
「あると思うよ」
 聖花はにこりと笑って愛実にこう返した。
「やっぱりそういうことはね」
「あるのかな」
「あるわよ。きっとね」
「だったらいいけれど」
 聖花にそう言われてもだ。愛実は。
 俯いて辛い感じの顔になってだ。こう言ったのだった。
「私ね。これまで男の子に告白とか」
「そういうのなかったの」
「うん。全然ね」
「私もないけれど」
「いや、聖花ちゃんは」
 いつも何気なく間を取り持っていることは言わなかった。
「一杯あると思うよ」
「ないわよ。そんなの」
「あるから」
 聖花は気付いていないだけなのだ。そのことに。
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