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【完結】剣製の魔法少女戦記
第一章 無印編
第一話        『異世界。溶かされる心』
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いた。

気づいた時には私はシホちゃんを両腕で抱きしめていた。

「シホちゃん…もう無理に心を閉じなくていいのよ? 私達はあなたの事をすべて分かるって言うほど偉くないけど、でも無理しているってことだけは分かるのよ!」
「え……私は無理なんかして「それじゃその涙と手の血はなんなの…?」…え? あれ、私…どうして…」

シホちゃん…やっぱり気づいていなかったのね。
そうやっていつも心を殺していかないとやっていけなかったのね。

「泣いていいのよ…? シホちゃんはもう十分頑張ったからいっぱい泣いてもいいのよ?」
「いえ、私は泣くことなんて出来ないんです…今までも私の全てを救いたいって言う我侭な理由で置いてきてしまった人達の為にも…もう、今更気づいても償いすら出来ない」
「それじゃまたやり直せばいいじゃない…? あなたにはその資格があるのよ?」
「あるんでしょうか…? こんな、人でなしな私に…」
「あるからあなたの師匠さん達にこの世界に飛ばされてきたんでしょ?」
「あっ………はい、私…大事な親友に…大師父に………義姉に……幸せに、って……幸せに…う、ぐぅ……っう…!」

シホちゃんはそれから声を殺しながらも静かに泣き出していた。
それでも、その涙は綺麗なモノだって私は思えたわ。

「…決めたわ。あなた、それに恭也に美由希。私、この子の…シホちゃんの親になるわ」
「…母さんが決めたんなら俺はなにもいわないよ」
「うん、私も…シホちゃんのお姉ちゃんになってあげたい…」
「桃子…ありがとう。あんなことを聞いてしまった私は桃子のような言葉はきっと言えなかった」

恭也はとても優しい声で、美由希はもうシホちゃん以上に涙を流して、士郎さんは顔を俯かせながらも目じりに涙を浮かべてそう言ってくれた。

「さぁ、シホちゃん! 今日からあなたは私達の家族よ。だからいつでも頼っていいのよ?」
「は、い…ありがとうございます…桃子さん…」
「ダーメ。私のことはお母さんって呼んで!」
「お母さん…?」
「そう、お母さん」
「で、でも…私今まで…その、母って言うものを知らなくて、どう接したらいいか、わからないです…だからまだ覚悟が決まってからでいいですか?」
「うん…いつでもいいわよ。私はそれまで待っているから…」
「はい…」







―――…やれやれ、一時はどうなるかと思ったぞ、シホ。だがこれからはお主も幸せというもの知るべきだ。じゃからこれはいい機会といってもいいやもしれん。
それにしても、この世界には魔法や魔術を使うものは少ないようじゃの?
あの子も今のシホと比べて下位か同等の魔力を秘めておるのに…もったいないの…
しかし、そうなるとシホはこの世界では神秘をほとんど一人独占できるということかの
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