第3章 白き浮遊島(うきしま)
第27話 ティンダロスの猟犬
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れ以外の場所でも同じような叫びと、戦いの気配が発生する!
「何が起きて、うわ!」
突如、開く才人達の部屋の扉に向け、廊下の角より顕われしティンダロスの猟犬が放った舌による一撃が突き立ち、そこから顔を出そうとした才人の顔に、危うく、新たな穴を作り上げようとした。
「一体、何が起きているのよ!」
才人の後ろから、俺の壁盾の護りし空間に飛び込み、そして瞬時に体勢を立て直したルイズがそう俺に聞いて来る。尚、ルイズのその身のこなしが、どう考えても能力を発動させていない普段の才人以上の動きだった事は敢えて気にしないで置く。
……って言うか、そんな事、俺の方が聞きたいですよ。
「判らへん。ただ、何か異常事態がこの街全体に起きつつ有ると言う事だけは判る」
短く紡がれる口訣。そして、結ばれる導印。
集められしは水の精霊。
今度は、冷気の矢が、新たに顕われ出でた三体のティンダロスの猟犬たちを襲う!
「この場は俺とタバサだけで大丈夫やから、才人とルイズはさっさと下の階に行け。
おそらく、外もタバサと俺が雇った傭兵たちが護っていてくれるはずやから、港までの道は未だ確保されていると思う」
再び、時間の彼方の深淵より響く猛犬たちの叫びが、俺の何処かを貫いた。
しかし、一体は確実に凍らせたタバサの仙術であったのですが、その身体を包む分厚い青い膿によって阻まれ冷気の効率が悪いのか、残りの二体に関しては未だ健在であった。
「……って、忍。お前、右手が使い物にならないんじゃないのか?」
最初の奇襲を右腕のみを犠牲にして防いだ俺だったのですが、ヤツらの毒に冒された俺の右腕は既に変色し、とてもではないが生者のそれとは言えない代物と変わっている。
そして、それは、少しずつ領域を広げ、赤とも黒ともつかないその死を示す色が、現在では指の先から、肘の近くにまで浸食を完了していた。
「俺は矯正された右利き。左手だけでも有る程度剣は扱えるから問題はない。
それに……」
実は、左手は普通の右利きの人よりは器用なのですが、右手と同じレベルで扱える訳では有りません。ですが、この際、そんな事は無視。
そして、俺はルイズの方を見つめ、
「ルイズの役割はここで、俺達と共に戦って勝利する事やない」
……と告げる。
刹那、放たれる槍を思わせる死の刺突。
瞬間、予想される攻撃点を完全に覆い尽くす壁盾。
そして、手首の動きのみで少し角度を変えた壁盾を叩く打撃音と、左手に伝わる重い衝撃。
実際、今は階段の方は安全圏と成っていますが、何時、ヤツらが階段の方に回り込まないとも限りません。
何もない空間に、異なる世界、異なる時間軸から角を使って顕現出来る存在が、同じような方法で
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