第3章 白き浮遊島(うきしま)
第27話 ティンダロスの猟犬
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未来は変えられる。
その未来が、くそったれな未来なら、大きく『否』と唱えてやったら良い」
そう。未来は変えられる。俺はそう思っています。
時間は常に前に向いて進むのみ。ならば過去は変えられないのは必定。
しかし、故に、未来は変えられるはずです。
その言葉を聞いたタバサから、少し、それまでと違う微妙な気が発せられる。
そして、
「未来は変えられる」
それは、本当に小さな囁き。それでも、強い言葉。
頑なに成り掛けていた彼女の心を、この言葉の何処に解きほぐす力が有ったのか定かでは有りませんが、少なくとも、彼女から感じる雰囲気は、それまでの陰の気に包まれつつ有った雰囲気とは少し違う物に変わっていたのは間違いない。
それに、召喚しなければ良かったなんて、哀しい事は言って欲しくはないですから。
少なくとも、彼女の口からは……。
「そうしたら、下に降りて、晩飯にするか」
もう大丈夫。そう思わせる雰囲気をタバサは発していますから。
しかし、タバサはその俺の言葉に首肯く事は無かった。
代わりに……。
刹那、俺の後方……確か、突き当りで壁しかないはずの方向からタバサを狙って放たれた何かを、右腕を犠牲にする事で一瞬の時間的余裕を得る事に成功する。
そう。俺自身には、風呂から上がった後にも、当然のように物理反射を施して有りました。故に、その攻撃自体は無効化したはずなのですが……。それでも尚、その物体に纏わり付いていた毒までを無効化する事は出来なかったのだと思います。
但し、その貴重な一瞬の時間的余裕を使用して如意宝珠を起動。キュルケを護った際に展開させた壁盾を叩く何者かの攻撃。
振り返った俺の瞳に映ったそれを、一体、何に例えたら良かったのであろうか。
実体化した肉塊。痩せた犬。ぬらぬらと光る青い膿に覆われた何か。有る狂った詩人には、宇宙の邪悪さが全部あの痩せて餓えた身体に集約されている、と表現されて居ましたか。
古に記されし彼らに関する記述を辿るのなら、彼らは人間、及び、他の生物の中に有る何かを追い求めていると言います。
そして、彼らは時間と角に関係していたため、部屋の隅などの鋭い角度のあるトコロから実体化して出て来る事が出来ると言われています。
そう、例えば、この廊下の突き当たりに有る角とか……。
刹那。タバサより放たれし雷光が、その忌まわしき肉塊を討つ!
そして、次の瞬間にそれまで聞いた事のない叫びが、耳ではなく、身体の何処かを貫く。
そう、それは、彼方より……まるで、暗黒の大渦の中心で吠え立てる、禍々しい犬の如き叫びが聞こえて来るかのようなそれで有ったのだ。
その瞬間、階下、そして、この建物、そして、そ
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