第3章 白き浮遊島(うきしま)
第27話 ティンダロスの猟犬
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。まして、才人自身がそれに気付いていない事も。
才人に取っての約束と言うのは、そんなにも軽い物だったのでしょうか。
それに、才人に罪はないのですが、彼の発言に因って俺の後ろから感じる彼女の雰囲気が、少し彼女に相応しくない気を発しています。
俺の事など気にする必要はないのに。
そこまで才人に告げてから、振り向いて部屋から出て行こうとする俺。その時にタバサと少し目が合うが、彼女の表情は普段の通りであった。
そう。表情に関しては、普段通りの透明で、感情を表す事のない表情を、その精緻と表現すべき容貌に浮かべているだけでした。
「なぁ、忍」
しかし、背後から俺を呼び止める才人。
そして、俺が振り返るのを待たずに、才人は言葉を続けた。
彼に取っては、俺とタバサの関係が、そう見えているのだろうと言う言葉を。
「オマエは、タバサと判り合えているようで、羨ましいよ」
……やれやれ。確かに、俺とタバサの間の雰囲気を外から、他人から見たらそう見えますか。
しかし、そんな事が有り得る訳がないでしょう。
ルイズと才人が出会ってから一カ月も経っていないのなら、それは俺とタバサの間にも同じだけの時間しか流れていない、と言う事なのですから。
「才人。俺達に取って、世界の人口の半分を占める生物は、永遠に謎の存在や。
彼女らがどう考えて、どう思っているかなんて、完全に理解する事など出来る訳はない」
俺が上手く立ち回っているように見えたとしたら、それは、才人くん。貴方の普段の行いに問題が有り過ぎるからでしょうが。
キュルケとルイズの間をふらふらとして居たら、ルイズだって、少々、怒りもすると思いますよ。
最近では其処に、メイドのシエスタも加わって居るらしいのですが……。
おっと、これは今のトコロあまり関係がない事ですか。
自分が、同じような事をされたら腹が立たない訳がない。そんな簡単な事に何故気が付かないのです?
それに、そもそも、その彼女が怒ると言う行為自体が、アンタの事を気に掛けている、と言う事の裏返しだと思いますし。
「まぁ、隣の芝生は青く見える、と言う事。気楽なように見えて、俺は俺なりに心配している事や、気にしている事が色々と有るからな」
☆★☆★☆
開け放したままに成っていた扉の外には、石を磨き上げた壁にもたれた形でピンクの髪の毛をした少女が、自らの首から下げている銀の十字架に右手の指で少し触れながら、所在無げな雰囲気を漂わせてただ佇んでいるだけでした。
……彼女に聞かれてマズイ台詞は、才人が自らの生まれ育った世界に帰りたがっている、と言う部分だけですか。
やせ我慢で良いから、そんな言葉を、自らを呼び寄せて仕舞った女の子の前では
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