第3章 白き浮遊島(うきしま)
第27話 ティンダロスの猟犬
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も現在、才人が単独で居るのなら、その方が好都合ですか。
そう、かなりポジティブな方向に思考を導き、
「そしたら、タバサは先に食事を初めてくれるか。俺は、少し才人に用が有るから」
……と、自らの主人に対して、そう言った。
それに、この宿屋内ならば、タバサの傍に俺が居なくとも、そう危険な事もないと思いますから。外は、ラウル達傭兵が護りを固めていますし、竜殺しのジョルジュが居る。昼間に現れた猛犬程度なら危険はないはずです。
まして、離れると言っても十分程度。このぐらいなら、わざわざ、タバサの食事の時間を遅らせる必要はないと思います。
そう思い、タバサをここに残して、俺だけで才人の元に向かおうと思ったのですが……。
少し、俺の事を見つめるタバサ。そして、何故か首を横に振る。これは否定。
……少し、微妙な気を発していますが。雑多な気に紛れて掴み辛いけど、彼女が発している雰囲気は、負の感情に似ているような気もしますね。
「もしかして、付き合ってくれる、と言う事なのですか?」
そう聞き返した俺の言葉を、小さく首肯く事によって肯定するタバサ。
……どうも、理由が良く判らないけど、何か彼女なりに思うトコロが有ると言う事なのでしょう。
それに、別にタバサに聞かれて問題が有る内容の話をする訳でもないので、彼女がついて来たとしても問題はないですか。
「何、降りて来たと思ったら、また二階に上がっちゃうの?」
座ったと思ったら直ぐに立ち上がって仕舞ったタバサに対して、アルコールの性か少し陽気な雰囲気のキュルケがそう聞いて来た。……のですが、これは別に咎めるような雰囲気では有りませんね。
このキュルケの台詞の意味は良く判らないけど、雰囲気から察するにタバサを置いて行け、と言う類の台詞では無いように思います。だとすると……。
「まぁ、ちょいと用が有るだけやから、才人の顔を少し見たら、直ぐに飯を食いに降りて来るわ」
軽く右手を上げるような挨拶を一同に対して行ってから、回れ右を行い、降りて来た階段の方に再び歩み始める俺とタバサ。
キュルケの意図が読み辛いけど、おそらく、俺達が才人の元へ立ち去り易いようにする為の台詞だと好意的に判断しても良いでしょう。
何故か、俺自身がワルドに睨まれているみたいですから、才人のトコロに行き辛い空気が有るのは事実なんですよね。
俺自身としては、それほど睨まれるような事を行った心算はないのですが。
……あの決闘騒ぎを邪魔した以外には、なのですが。
そんな、どうでも良いような事を考えながら食堂を後にして、二階……つまり、宿屋部分へと向かう俺とタバサ。
尚、背中に向けられた嫌な視線を感じながら……。
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