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ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
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―閑話―〜日常への道〜
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にしてるんだよ」

「………………」



税金泥棒め、と言いたいが、自分自身も似たようなものなので、黙ってメニューを開く。

経費で落ちるとは言っても値段が値段なので、迂闊に頼むのをためらってしまう。朝食はちゃんと食べて腹も膨れていたため結局、紅茶とサンドウィッチに落ち着く。合計は800円弱だ。


「遠慮しなくていいのに」


そう言って菊岡は1500円相当を躊躇なく注文する。


「……で?何の用だよ。生憎、今立て込んでるから面倒事は御免だぞ」

「分かってるよ。ちょっと訊きたいことが有ってね」







――わざわざ朝っぱらの空いている高級喫茶店に呼び出して話さなければならない話。





「面倒事は御免だと言ったはずだが?」

「螢君、僕は今、君に『総務省の役人』の菊岡誠二郎ではなく、『友人』の菊岡誠二郎として会いに来ているんだよ」

「………交際費は経費だろ?」

「そんなものは建前さ」


職権濫用とはこの事だ。まあ、何はともあれ『友人』の頼みだ。聞いてやらんこともない。

だが、面倒なのは事実なのでぞんざいに先を促すが、菊岡は気分を害した様子もなく話始めた。



「この間渡した《10代SAO被害者のための学校案内》ってあるだろ?」

「ん?……あ、ああ」


身構えてた割りに衝撃が少なかったので、思わずどもった答え方をしてしまう。


「都立校の統廃合で廃校舎になった建物を使うことになってるのは知ってる?」

「ああ。概要に書いてあったな」


何だろうか。まさか廃校舎で幽霊がでるらしいから確かめて来い的なアレか?

だが、それは早計というものだった。






「それがさぁ〜、何か環境テロリストの根城になってるみたいなんだよね」





………はい?




「スマン、もう一度言ってくれ。疲れが取れて無いっぽい」

「何か環境テロリストの根城になってるみたいなんだよね」

「警察行けっ!!」


恐らく、ここがSAOやALOだったら青筋の一つでも浮かんでいるに違いない。


「あのね、螢君。僕だって警察の存在を知らない訳じゃないよ?でもね、問題は《SAO被害者のための学校》という部分にあるのさ」

「……というと?」


何やら複雑な理由があるようなので、一旦落ち着く。


「SAO事件は社会を揺るがした大事件だ。それが見事、ALO事件を経て解決した。さらに、この生還後の異例の厚待遇。秘密裏に抑えられている報道も含めれば、君達は相当悪目立ちしている」

「悪目立ち?何故だ?」


菊岡は彼にしては珍しく呆れた様子で言った。

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