After days
spring
―閑話―〜日常への道〜
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ドライ過ぎるんだよ」
感心半分呆れ半分の声色で呟くと、既に着替えて待っていた蓮兄が諭すように言ってくる。
「あっそ」と答えると、互いに竹刀を下段に構えて対峙する。
余談だが、何日か前に沙良と蓮の2人を下した螢だが、あれは戦術を『体術』だけに限定したからだ。『剣術』オンリーなら蓮に劣り、『組手』なら沙良に劣る。
次期当主候補の序列はあくまで総合的な視点からの判断だ。
故に、竹刀を使って蓮に勝てる道理は無いのだが、無論、簡単に負けるつもりはない。
「言っとくが、『剣道』じゃなくて『剣術』でいくからな」
「分かってるよ……」
例のごとく好戦的な兄にやや辟易しながら、食後の運動は始まった。
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強かに額をひと突きされ、勝敗が決したところで切り上げ、俺は自室でニュースサイトで取り上げられているVRゲームに関する情報を探っていた。
「にしても……」
あれだけ大きな事件が立て続けに起きても世間のVRゲームの需要は根強いようだ。
掲示板などで盛んに論議が交わされているが、VRゲーム容認派と反対派の比率は五分五分だ。
俺は脇に置いてあるナーヴギアに目を移す。塗装が剥げ落ちたヘッドギアは薄暗い部屋にごく自然に溶け込んでいる。
入手した医療用フルダイブ機《メディキュボイド》は現行の家庭用フルダイブ機《アミュスフィア》の姉妹機と言った所だろうか。《メディキュボイド》の原型は《アミュスフィア》ではなく《ナーヴギア》でもし仮に、メディキュボイドでVRゲームをするとしたらナーヴギアに匹敵するクリアな映像が楽しめるだろう。
だからこそ、《終末期医療》に用いられるのだが……。
《終末期医療》という言葉に歯噛みし、イライラと端末の電源を落とすと、後方の寝床に倒れ込み、そのまま眠りに落ちていった。
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翌日、朝っぱらから菊岡に呼び出された俺は銀座にあるおしゃれな喫茶店に足を運んでいた。
1人ではとても入る気にならないような高級感溢れる外装だが、中で待ち合わせであるため、仕方なく入る。
案内された席には忌々しいメガネの役人がにこにこしながら待ち受けていた。
「ご足労ありがとう、螢君。すまないね。わざわざこんなところまで」
「だったら何でこんなとこ呼んだんだよ……」
「いや〜、この間フラッとこの店に入ったらおいしいの何のって。気に入っちゃってね。交際費が経費で落ちるときはいつもここ
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