五話 会談と居候
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悠二の言葉は由姫やさくらを困惑させるが、純一だけには意味が通ったらしく神妙な顔をする。
その反応に我が意を得たりと少し微笑み
「――さくら」
「なにかな、悠くん?」
「厄介になるがいいか?」
問いかけた。
「うん♪」
そして、さくらは本日二度目の笑顔の満開を見せるのだった。
*
「――悪いな、由姫。夕飯世話になっちまって」
「いいのよ、悠くんだって私の家族よ?」
そのあと、義之と悠二のために由姫が夕飯をご馳走してくれた。そのあと、悠二とさくらは朝倉家の玄関口に居た。
言葉遣いについては敬語にしようかともいった悠二だったが、似合わないとのさくらや由姫からの反応で通常通りのものとなっていた。
「お兄ちゃん、おやすみ」
由姫の背中からひょいっと顔を出した由夢がまだ少し恥ずかしそうに言った。
「ああ、お休み。由夢、それと音姫もな」
「――うん」
由夢のさらに後ろに立つ音姫にも気づいていた悠二が声をかけると、少し恥ずかしさに顔を染めながらも、音姫は頷いてくれた。
「義之もお休み」
「うん、お休み。お兄ちゃん」
「ああ」
そんなメンツに見送らえて悠二とさくらは朝倉家を出る。
とはいえ、向かう芳乃家も隣にあるため、実に不可思議な気もする悠二ではあった。
「――さっきも思ったが、割と大きいんだな。お前の家は」
「えへへ。御祖母ちゃんの時からずっと住んでるんだよ!」
「――」
「てい!」
思わず、さくらの年齢を考えてしまった悠二の頭に衝撃が走る。
「――女の子に年を聞いたじゃだめだぞ!」
「――言葉には出してなかったんだが?」
「――そんな気がしたんだよ」
「エスパーかよ」
「にゃはは」
そんなただのじゃれ合い。他愛のない会話を心から楽しむように笑うさくらに悠二の表情はわずかに曇る。
前を歩いている為、そのことには気づかないさくらは玄関の扉をあける。
「ただいま〜♪」
「――お、いや、違うな」
一瞬、いつものように『お邪魔する』と言いそうになった悠二は訂正する。
「ただいま、だったな」
そういうと、さくらは嬉しそうに表情を綻ばせたのだった。
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